コラム・インタビュー

私たちのいう「神」とはいったい何なのか

王家の谷KV55の壁画

 アセンションという概念が嫌いだった。20年近く、当時の書店では精神世界と呼ばれていた棚にある本を片っ端から読んだりセミナーに出たりしてきたけれど、結局”選ばれた者”しかできない次元上昇という概念。そこに付随するスピリチュアルも好きじゃない。「あなたは今回が地球最後の転生」なんて言われるたびに私は反発して「最後の一人になるまで何度だって戻ってきてやる」と思っていた。「私は特別」「神に愛された私」「キラキラ」…今なら龍や覚醒や次元について、この間まで家族の傷を癒していたはずの人間が語っていたりする。少なくとも、「自分は他者とは違って」特別だという観念を持った人間が神に近づく=1もしくはゼロに至るのは難しい。名声やお金を第一義に考えるようなヒーラーはその時点で分離の方向に向かっていて、一に戻るのとは逆に進んでいるからだ。

 だからなぜ自分は特別だなんて意識が生まれるのか、人が平等じゃなくなってしまったのはいつからなのか…もしくはそんな時期は初めからなかったのかを考え、「自分」という概念を成立させるために一番大きな影響を与えているものは「教育」だというところに行き着いた。親からであれ学校の教師であれ、私たちは「威厳を持つとされる人々」から教育を受ける。そして、それが自分にとって好ましくないものだとしても、妥協して受け入れたりもする。お金や権力を手に入れるために自分をごまかしたり、いい人だと思われたくて思ってもいないことを言うようになる人もいる。教育を世界的に考えたとき、初期段階にあったもの…「知識のある者がない者に教える」の原型は宗教だ。私は宗教戦争を多く引き起こしてきた、宗教としてのキリスト教に懐疑的なことと、キリスト教の世界観が色濃く反映している現代をあまり住みやすいと思えなかったことからそれ以前に遡ることにした。

 日本にも古文書はいろいろあるが、現時点で解明されている言語のうち一番古いものはヒエログリフか楔形文字になる。そこでヒエログリフは自力である程度読めるようにして、時代が重なっているメソポタミア系の神話と併せて見ていくことにした。現在の言語体系によって神話の原型は多少異なるが、私が調べたものでは多くの神話の中に「原初の海、混沌」の存在があった。古事記では「泥混じりの海」、日本書紀では「混沌」、メソポタミアならティアマトがその海を表し、古代エジプトではNn(ヌン)と呼ばれる。メソポタミアとエジプト、古代イスラエルなどでは神話に共通点が多く、お互いに影響を受けたり引用があったりするが、ここでは古代エジプトの神話から考えていく。

(高橋ハナ・ヒーリングと占い・金魚堂のnoteでの記事を修正して掲載しています)

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