コラム・インタビュー

不倫っていけないの?

ハートのラテアート

 近年「不倫はいけない」「不倫は悪」といった意見が多数派になっているように見えます。芸能人の不倫が表沙汰になってネットで総批判を受けるのも珍しいことではなく、中には仕事を失う人も出ています。周囲で不倫をしている人を見かけたことのない人や既婚者をいいなと思ったことのない人は少ないと思いますが、それでも無意識にいやだなという気持ちが出てしまうのはなぜなのでしょう。

 それぞれその状況になった理由は違うはずだし、既婚者が配偶者以外に恋心を抱くのはすべておかしい!って、かなり乱暴な意見ではないでしょうか。もちろん「恋愛がしたいなら離婚してから」「順序を違えずに恋愛すればいい」というのは理解できますが、すべてを十把一絡げにして「何が何でも不倫はダメ!」と断罪するのは無理があるように思えます。

 例えば「ツインソウルを見つけた」という理由で配偶者や子供を二の次にしている人を見たら、都合よくツインソウルという言葉が使われるようになっていった状況、やがて多くの人からは受け入れにくい概念になっていった時期を思い出します。ですが、同じ不倫でも真摯に日々を送りながら相手を思っている人も存在します。「本当に愛せる人に出会ったからもう偽りの暮らしは続けられない」と、離婚を選んで必死に生きている方を何人も知っています。愛の体現として結果的に不倫と呼ばれる状況になってしまうこともあるんですよね。

 おおまかな「不倫」というくくりでは、不倫をしている人が無責任なように見えたり、不倫なのか遊びなのかはわからなくても性的に乱れているように見えたりして、特にそれまでのイメージがクリーンであればあるほど逆にがっかりする要素になっているのではないでしょうか。芸能人でも「まああの人なら・・・」という人はそれほどダメージを受けていなさそうです。

 地球上には一夫多妻制の国も、実質的には多夫多妻制の地域もあります。でもスピリチュアル的な考え方をするなら、その中で一夫一妻性の日本に生まれた意味がきっとあるはずですし、そう考えれば不倫の関係から学ばなければならないこともあるでしょう。「すべての不倫は悪である」と言うには、あまりにもバリエーションがあるのではないでしょうか。私たちは同じ育てられ方や学び方をしていないので、百人いたら百通りの価値観を持って百通りの人生を送っています。

 当事者の方は、なにが大切でなにが不要なのか、なぜそうした状況に至ったのか。悲劇のヒロインになったり罪悪感に苛まれたりするのではなく、今の状況を捉え直すチャンスだと考えればさらに幸せな自分になれるのではないでしょうか。そして当事者ではないなら、他人の生き方に口を出すのではなく、その人のあり方を受け止めた上で自分がどうしたいのか、今後もつきあっていきたい人なのかそうではないのかを考えればいいと思います。

 不倫に対する社会の受け止め方を理解しつつ、それぞれが自分の道を選んでいけたらいいですよね。昔の都々逸ではないですが「人の恋路を邪魔する奴は・・・」ですし、「人は人我は我、されど仲良し」でいられたら、もう少し社会は生きやすくなるのではないかと思います。

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