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青によし!奈良時代、介護はサムライの仕事だった

幸せな老人

 こんにちは、スピリチュアルヒーラー兼介護福祉士のルミナです。私が勤める特別養護老人ホームでは、ボランティアの方々が利用者さんのケアや日常をより実りあるものにするお手伝いをしてくださっています。先日高校の国語の教師をされていたWさんが、関が原の戦いの裏話や教科書には載っていない武将のトリビア、性癖まで事細かに話してくれました。利用者の皆さんは大きくうなずいたり、ひいきの武将の話が出ると手を叩くなど、本当に盛り上がりました。もちろん、私自身も楽しく勉強させていただきました。

 そんなWさんが、帰り際にふとおっしゃいました。「介護職ってもともとは侍の仕事だったんですよ」…ええええ!Wさんに聞いた話をもとに、いろいろと調べてみました。

 それは今をさかのぼること1200余年、天平宝字元年のこと。この年に施行された「養老律令」の中に、その記述は確かにありました!給侍条(きゅうじじょう)という法令で定められた、「侍丁、じちょう」という役職です。侍丁は80歳以上の高齢者のお世話をして自立を促す、まさに今で言うヘルパー的な役割を果たしていたのです。しかもこの侍丁、80歳以上には1人、90歳以上には2人、なんと100歳以上の人には5人も仕えることになっているのです!しかも身分の高い人のみが受けることができるサービスなのかと思いきや、どの文献にも身分の規定はないんだそうです。

 律令では、61歳以上で妻のいない「鰥」、50歳以上で夫のいない「寡」、16歳以下で父のない「孤」、61歳以上で子供のいない「独」、貧困者、傷病・障害のある者が要援護対象とされました。税や課役の免除対象でもあったそうです。各家庭での介護や地域での扶助が基本ではありましたが、父母を敬い、困窮者や病気の人を助けることで福徳を得るという仏教思想が浸透していたからなのかもしれません。

 身分制度のあった時代にもかかわらず、侍丁サービスはかなり平等に利用できたようです。しかも侍丁になると、課税や労役の免除、布や米といった給与も支払われていました。サービスを受ける側も提供する側も至れり尽くせり、まさに「お年寄りは国の宝」を国家をあげて実践していた時代だったんですね。ちなみにここでいう「侍」は、その土地の貴族に仕える下級技能官人を指していたようです。

 千年以上も前の日本にそんな素晴らしい介護サービスの制度があったことを誇りに思いました。と同時に、現在の介護の世界の厳しさにも思いを馳せてしまいます…。私も心に「侍スピリット」を持ちつつ介護の業務に挑みたいものです!

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