アステカの戦士

『メキシコの神々』第二章・2-5 太陽と月の創造 サアグンの伝承

※『The gods of Mexico』Lewis Spence 翻訳した文章©StellaCircus

テスココに伝わる最初の人間

 オルモスによれば、テスココの人々は天地創造の出来事を当然のように自分たちの土地で起きたこととして話していたという。さらに彼らは、修道士に見せたコデックスに基づいて付け加えた。太陽が大地に向かって一本の矢を放ち、その矢が刺さった場所に最初の人間が生まれたのだと。

 最初の人間は不完全な存在で、脇の下から上の部分しか持っていなかった。次に女が現れた。メンディエタはこの神話の続きをあまりに露骨だという理由で記録から省いているが、この二人から人類が生まれ広がっていったと考えてよいだろう。

サアグンが伝える太陽と月の創造

 サアグンが伝える太陽と月の創造は、これまで見てきたものとはいくらか趣が異なる。

 神々はテオティワカンに集まって話し合っていた。「誰が世界を照らす役目を引き受けるのか」という問いには、テクシステカトルという後に月の神となる神が「私がやろう」と答えた。神々はもう一柱、この務めを担う者を探した。最後に選ばれたのはひどい病に冒された神で、この神は求めに応じた。

 神々は4日間の苦行を行ってその時に備え、テオテスカリ=神々の高き場所と呼ばれる岩で火を焚いた。その間テクシステカトルは、豪華な羽根飾りや黄金の装飾品などいろいろな宝を供物として捧げた。神々が儀式で身体に刺す棘はマゲイ(リュウゼツラン)の棘に似せて作られていたが、その素材は宝石だった。香として焚かれたコパルも並の品ではなかった。

 一方、生贄となる神はナナワツィンと呼ばれた。ナナワツィンはこうした儀式で一般的に使われる木の枝や草の玉、マゲイの棘の代わりに3本ずつ束ねた9本の緑の葦を捧げ、自らの血で濡らした。コパルの代わりとしては自分の身体から剥がれた瘡蓋を捧げた。

4日4晩の苦行と装束

 神々は世界を照らす役目を引き受けた二柱それぞれのための塔を建て、4日4晩の苦行を行った。それが終わると、その間に使った枝や花などの品々を地面に並べた。

 翌日の真夜中が近づいた頃、神々はテクシステカトルに装束を運んだ。アスタコミトルという鷺の羽根の飾りと、軽やかな布の上着だ。ナナワツィンに与えられたのは、アマツォントリ(紙の髪)と呼ばれる紙の冠と、同じく紙でできた肩掛けと腰帯だった。

炎への投身

 真夜中になると、神々は4日間火が燃え続けてきたテオテスカリに集まった。火を挟んで両側に2列に並び、テクシステカトルに燃え盛る炎の中に身を投げるよう促した。だがテクシステカトルは炎の凄まじい熱に怯み、後ずさった。何度も飛び込もうとしては、そのたびに勇気が挫けた。

 そこで神々はナナワツィンを呼んだ。ナナワツィンは呼ばれるや否や、ためらうことなく燃え盛る炎の中へ身を投じた。その身体はたちまち「炙られる肉のように」音を立てて弾けたという。自らの振る舞いを恥じたテクシステカトルも、後を追って炎に飛び込んだ。

 このとき鷲も一緒に炎へ入り、鷲の羽根が黒いのはそのためだとされる。続いて虎(オセロトル)も飛び込んだが、身体の一部が焼けただけで済んだ。その証が身体の斑点だという。この神話が、鷲と豹の記章をそれぞれ身につけたアステカの戦士団—クアウトリ(鷲の戦士)とオセロトル(豹の戦士)に何らかの形で結びついていたことは明らかだろう。

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