【空海の奇跡的なエピソード】
密教ファンだけでなく、今でも多くの人を惹きつける空海。知り合いの阿闍梨は「真言宗はある意味空海ファンクラブ」と言っています。子供の頃から「貴物(とおともの)」と呼ばれ、その天才ぶりを発揮していた空海。数々の奇跡的な逸話を持つ空海ですが、どんなものがあるのでしょうか。
断崖絶壁から身を投げる
「私は将来仏門に入って多くの人を救いたい。釈迦如来よ、これが叶うなら姿を現してください」と断崖絶壁から身を投げたという逸話。叶わないなら我が身を仏に供養として捧げるとも言ったそうです。
お釈迦様は当時7歳だったという真魚(空海の幼名)を助け、「一生成仏(=真摯に仏教を学べば悟れるだろう)」と言ったとされます。
御厨人窟での悟り
「虚空蔵求聞持法」の修行の際、口に明星(虚空蔵菩薩の化身)が飛び込み、悟りを開いたとされます。
※虚空蔵求聞持法は、虚空蔵菩薩の真言を50~100日で100万回唱える修行法。途中で発狂することもある孤独な荒行。成就するとあらゆる経典を記憶できる力が得られるとされ、満願の日は日蝕か月蝕でなければならない。
嵐を静める
空海が唐で真言密教を学んで日本に帰ってきたときのエピソード。何度も嵐に遭って船が沈みかけたとき、空海が不動明王の剣印と索印を結び、真言を唱えて嵐を鎮めたと言います。
干上がった池に水を満たす
富山を訪れたとき、村人が水汲みに苦労しているのを知った空海。やおら錫杖を突き立てると、勢いよく清水が湧いたそうです。これは富山の名水にも選ばれ「弘法大師の清水」として親しまれています。
富山だけでなく、日本各地に空海が錫杖を突いて水を湧かせた伝説が残っています。
【空海と辰砂】
仏像には金メッキが欠かせませんが、金メッキを行うためには水銀が必要です。そしてこの水銀は「辰砂」という鉱物が原料となります。高野山の麓には高野山の総鎮守とされる丹生都比売神社、辰砂=丹を司る女神を祀った神社があります。辰砂は神社の鳥居や仏画などにも使われ、金よりも高価だったと言われます。空海は辰砂が取れるエリアを押さえていた様子があり、真言宗の古寺と丹生系の神社は深く関連していました。
古い時代には水銀は薬としても使われていて、空海の死因はその症状から水銀中毒だったのではないかという説もあります。秦の始皇帝が求めた不老不死の薬も水銀だったのではないかと言われており、古代の人々にとって辰砂は夢の鉱物だったのかもしれません。
書物を貸してくれと何度も繰り返す最澄に「本ばかり読んでいても何もわからない」と言い放つなど、空海の実践主義が真言宗を広めていったのは間違いありません。ですが、辰砂で潤沢な資金力を得ていたこともその一因だったのではないでしょうか。
【まとめ】
空海は幼い頃から仏教を突き詰めて学び、その結果数々の奇跡的なエピソードを残しました。日本中に空海作とされる仏像があり、一日に何体も作らないと無理!という数になっていますが、空海の超人エピソードを考えると可能なのか…?と思わされます。
今でも高野山の奥之院で生き続けているという空海。多くの伝説が残る魅力的な人物です。何かを知りたいとき、会いに行ってみてはいかがでしょうか。南無大師遍照金剛!