古代メソポタミア文明の南部地域、現在のイラク南部地方に花開いたシュメール文化。メソポタミア北部はアッシリア、南部はバビロニアで、さらにバビロニアの南部地方がシュメールです。紀元前5500年-紀元前2000年前後まで、アッカド帝国に支配された時期があったりしながらウル第三王朝まで続いたとされます。
世界最古の文字である楔形文字の使用やギルガメッシュ叙事詩、「神ナンムが労働力として粘土から人間を作った」という陰謀論界隈では有名なアヌンナキでも知られます。底が知れない感じがするためか、少し怖いと言う人も多い文明ですよね。
ですが、このシュメール人たちは粘土板に多くの格言を残しています。その中から「何千年たっても人間って大して変わらないな…」と思ってしまうようなものをご紹介したいと思います。(参考:ちくま学芸文庫『シュメール神話集成』)
「(次のことは)前例がないことだー『若い婦人は夫のひざの上でおならをしない』だなんて。そんなことは長くは続かないのさ」
どうした...? 女性への夢が壊れたようですが、なぜわざわざ粘土板に彫ったのか。
「浪費癖のある妻が家に住んでいると、あらゆる悪霊より恐ろしい。」
悪霊という概念があったんですね。金遣いの荒い妻は数千年前も憂われています。
「食べ過ぎると眠れない。」
剛速球ストレート!!
「楽しみーそれはビール。いやなことーそれは遠征。」
きつい仕事を我慢してビールで一杯、現代人とあまり変わらないようです。
「富は(いつも)縁がない。貧乏は(いつも自分の)そばにいる。」
こんな愚痴をこぼしている人は今でもたくさんいますよね。
「彼は狐をつかまえられなかった。だが彼は首枷を作っている。」
とらぬ狸の皮算用ですね。
「(今)もぎとってはいけない。もっと後には実がなるだろう。」
時期を見るのは昔から大切なんですね。
ほかにも多くの言葉が粘土板から解読されています。奴隷や一夫多妻が背景にあるので理解しきれないものもありますが、ほとんどは現代にも通じる内容です。歴史的な資料は学術的には重要かもしれませんが、こういった日常生活の記録の方が面白いような気がしませんか…? 何やら難しそうな文字を解読してみてこんな格言だったら、ちょっと嬉しくなってしまいそうです。