荒ぶる日本の神として名高いスサノオ。スサノオがユダヤ系の神なのでは?という疑問は、日本の神を調べた多くの愛好家たちが持ってきたものです。スサノオの伝説とヘブライ文化やユダヤ教とは類似点が多く、いくつかの要素が追究されてきました。
【スサノオと古代ユダヤの共通点】
日本神話のスサノオは、母国の高天原から追放されています。古代ユダヤの人々はバビロン捕囚やアッシリアによる北イスラエルの滅亡から追放という憂き目に遭い、「失われた10支族」を生み出しました。ここでスサノオと古代ユダヤ人に共通する「追放」というテーマが出てきます。また、スサノオによるヤマタノオロチ退治は、ヤハウェが悪や混沌の象徴であるリヴァイアサン(レヴィアタン)を打ち倒すというモチーフと一致しています。
また、かつて正史として扱われていた『先代旧事本紀』に登場する「十種神宝」の中には「沖津鏡・辺津鏡」という鏡と「八握剣」が含まれています。旧約時代のユダヤ教で神託を受けるための道具「ウリム」と「トンミム」は「真理の光」を意味し、光を反射する鏡との共通点が見いだせるかもしれません。
【スサノオと剣山】
スサノオは剣山にある剣神社のご祭神の一柱でもあります。剣山は徳島県にある標高1955メートルの山で、古代ユダヤに関わると考えられる場所です。スサノオがヤマタノオロチを退治した後、尾から天叢雲剣(草薙剣)が出てきたという神話はよく知られていますが、のちに安徳天皇がこの剣を納めたという伝説が残っています。剣山は「神聖な剣を祀る山」という意味があることが考えられるのです。
そして、剣山には古代ヘブライの「失われたアーク(聖櫃)」が隠されているという伝説が。失われたアークは剣山に埋められ、山の内部には人工の構造物や古代の祭壇が隠されていると考える人もいます。剣山に程近い祖谷には斜面に作られた集落があり、ゲリジム山やガリラヤ湖畔にあったカペナウム付近の集落を彷彿とさせます。
【祇園祭と古代ユダヤの関連】
京都の八坂神社で毎年行われる祇園祭にも、古代ユダヤ文化との共通点が見られます。祇園祭の主神であるスサノオとヤハウェは、ともに疫病を司る神という一面を持っていますし、祇園祭をはじめとする日本各地の「神輿渡御」は、聖櫃を運ぶ様子に似ているとされています。
祇園祭の山鉾が、古代イスラエルの「幕屋」に似た構造であると考える研究者もいます。幕屋は移動可能な神殿で、垂れ幕で仕切られたエリアに木造の至聖所が作られていました。ちなみにユダヤ教の神殿でも、日本の神社の手水のように幕屋の手前の洗盤で手足を浄めていたそうです。山鉾に飾られるタペストリーや装飾品には中東系のデザインも多く、古代ヘブライ文化からの流れが感じられます。
【ヘブライ語でのスサノオ】
スサノオの名前のひとつ「速須佐之男命(はやすさのおのみこと)」の「はや」はヘブライ語では「חיה」(「は」と「や」の間に小さな「ぃ」が入ったような発音です)。これは旧約聖書にも繰り返し出てくる動詞で、「生命・魂」や「活力を与える」という意味になります。「すさ」は「שעשה」、発音としては「しゃぁさ」のようになりますが、「もたらす、動く、作る」などの意味を持ちます。スサノオの名前は「生命をもたらす男」となり、やはりヤハウェに通じます。
ユダヤからの流れを汲むかもしれないスサノオノミコト。古事記や日本書紀でも人間的な魅力を持った神ですが、もし本当に古代イスラエルからやってきたのであれば、どういった経緯があったのか気になるところです。