細川ガラシャ(1563年~1600年)は、戦国時代の武将・細川忠興の妻としてだけでなくキリシタンとしても知られています。プライドが高く激しかったと言われる彼女の人生は、自らの血筋と夫との関係、そして信仰という糸で織られた物語と言えるでしょう。信長に似た激しさを持つ夫からの愛情は、時にガラシャを苦しめるほどでした。
戦国の世とガラシャ
細川ガラシャは明智光秀の三女として誕生、幼少期の名前は玉・珠もしくは玉子・珠子です。のちにルイス・フロイスが「生まれつき非常に探究心に富み、また優れた才媛」と称し、『日本西教史』では「性の国色、容貌の美麗比倫なく、精神活発、頴敏、果決、心情高尚にして才智卓越せり」と描きました。
織田信長の言いつけによって細川忠興の妻となったのは二人がともに15歳の頃です。二人は信長が「人形のようにかわいらしい夫婦」と言うほどお似合いだったようです。翌年、翌々年には子供が生まれ仲睦まじく暮らしていましたが、父・明智光秀が起こした本能寺の変によってその運命は大きく変わることになります。内通を疑われることを怖れた忠興が、ガラシャの身を丹後の味土野(現在の京丹後市)に幽閉したのです。本来であれば離縁する状況ですが、忠興は夫婦でい続けることを選びました。
その間にも子供が生まれたものの、二人の関係は以前のような無邪気なものではなくなっていました。ガラシャは豊臣秀吉の計らいで細川家の屋敷に戻ったのち、夫からの話で知ったキリスト教に救いを求めます。忠興の監視を受けながらも、侍女に教会での洗礼を受けさせ、自らはその侍女による洗礼を受けたのです。これは秀吉がバテレン追放令を出した直後のことでした。ガラシャは洗礼名で「Gratia」、神の恩寵という意味を持ちます。棄教を迫った忠興でしたがガラシャは断り続けました。
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