歴史・文化・科学

本気で恐ろしい拷問シリーズ 串刺し

ヴラド公

 人権意識が高まった現代では考えられないが、かつては世界各地でさまざまな拷問が行われていた。その領地内の権力者が領民に対して、部下に対して、捕えた政敵に対してなど、ただ命を奪うのではなく、文字通り「死ぬまで」痛めつけることを目的とした残酷な方法が考案され、実行された。自分より弱いものをどこまでも痛めつけようとする人間の業は、ネットリンチやパワハラに形を変えて現在でも生き残っているのかもしれない。

 拷問を行っていた側として最も有名な一人に、串刺し公ことヴラド・ツェペシュがいる。ヴラド3世はドラキュラのモデルでもあり、自筆と思われるサインにも「ヴラド・ドラキュラ」と書かれたものが存在する。「人間の残酷さが生み出したもっとも恐ろしい刑罰のひとつ」とも言われている串刺しだが、ヴラド3世が生きた15世紀には刑罰として至るところで行われていたという。ロシアでは18世紀半ばまで串刺し刑が行われてきたし、トルコでは19世紀半ばに公開串刺し処刑が行われたという記録が残っている。ヴラド3世の特殊性は、犯罪者だけではなく自らに反逆する者も次々と串刺しにしたところにある。

 串刺しの恐ろしいところは、金属や木でできた杭を肛門から口に向かって刺されるという一点に尽きる。肛門は油を塗って広げられるか、下手したらナイフで切り裂かれたという。杭は執行人によって可能な限り奥まで差し入れられ、最終的には大づちで体内へと叩き込まれる。最終的に杭は地面に立てて突き刺されるため、自分の重みで杭はどんどん深く刺さっていく。杭が長ければ長いほど苦しみも続く仕組みになっているわけだ。

 心臓や脳、動脈などの致命的なダメージを与える場所に刺さなければ、その苦しみはそれだけ長く続くことになる。ロシアでは心臓をめがけて杭を打ち込んでいたというが、それでも数日生き残った死刑囚がいたという。下手な執行人の手にかかった不運な人間は、苦しみながらじわじわと死んでいくしかなかったのだろう…。さらに残酷なことに、多くの国では見せしめ目的で先端が丸くなっている杭を使用していた。中国やイギリスでは空洞の竹を刺され、その中に焼けた鉄の棒を挿入されたケースもある。さらに、宗教戦争の頃には性器から串刺しにされて道端に突き刺された女性の話も見られ、死刑以外でも串刺しが使われていたことがわかる。なぜ他者に対してここまで残酷になれるのか、想像もつかないのだが…。拷問なら真実を認めれば命だけは助けてもらえるケースもあっただろうが、串刺しに関しては刺された時点で死ぬことが確定していて全く救いがない。

 悪趣味だと一刀両断してしまうのは簡単だ。だが人間を理解するためには、自分の中にもあるかもしれない深い闇について知らなければならないのかもしれない。

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