件(くだん)は人の顔に牛の体を持った妖怪。西日本や九州で多く語られており、江戸時代から記録されている。1836年(天保7年)に丹波国(現在の京都府)の倉橋山(現在は倉梯山表記)に現れ、この先数年の豊作と絵を飾ることで家内繁盛と厄除けになると告げたという。ネット掲示板などでは東日本大震災の前に出現したと騒がれていたが、疫病の流行や天災の予言をすることもあれば豊作や凶作などの予言をすることもあり、必ずしも不吉な予言をする妖怪であるとは限らない。
越中国(現在の富山県)ではくたべ、くたへなどと呼ばれる件と同じような生き物が出現したとされるが、こちらは長い髪の女性や老人などバリエーションがあり、災いだけを予言するとされる。その災いはクタベの姿を絵にして貼ることで免れると言い、アマビエなどと同じような思想となっている。クタベは脇腹や背に二つの目があることから、水木しげるは中国の白澤と同一視していたという。ちなみに境港市の水木しげるロードにいる件はとてもかわいい。
件の予言は必ず当たると言われ、牛から産まれてきてすぐに人の言葉で予言をしたらまもなく死んでしまう。予言をするためだけに生まれてくるとも言える。