夜に海に突然現れ、船を破壊するという妖怪。海法師、海入道とも呼ばれる。巨大だとされることが多いが、小さい場合もあるようだ。美女に化け人間と泳いだと伝えられていたり、魚が変化して海坊主になったと言われたり、海で事故に遭った亡霊だとされるなど、地域によって姿や生息場所、行動が大きく異なる。
『因幡怪談集』では星のように光りながら海の沖から浜辺へとやってきた怪物で、一人の男にもたれかかってきたとされる。男はぬるぬるした怪物を何度も何度も投げ飛ばし、どうにか捕まえて木に縛りつけた。朝になって近所の人たちに真っ黒になっていると言われ、一人の老人が「これは海坊主ではないか。人を見ればもたれかかり、体はぬるぬるしていてさわるとかゆくなるという」と言ったとのことだ。
ほとんどの伝承では人を襲う妖怪とされているが、愛媛県の宇和島では海坊主を目撃すると長寿になると言われている。昭和初期に現れたというこの海坊主には手足としっぽがあり、人間より泳ぐのが少し遅いそうだ。