我は自らの山にいるもの 清めの幕屋の主
我は死者の魂を導くもの 聖なる国の主 秘密の達人
【アヌビスについて】
アヌビスはばらばらにされたオシリスの体を組み立てて包帯で包み必要な処理を施したことから、ミイラ作りや防腐処理をする神官たちの神となった。「防腐処理の場にいるもの」という称号も持っている。アヌビスは埋葬する際には死者から穢れを解放し、生気を与える「開口の儀式」を行うとされる。トートとともに死者の審判を行う神の一柱でもあり、神話の中では常にオシリス側でセトを打ち負かす。
アヌビスという名はギリシャ語で、古代エジプト語では「アンプウ」もしくは「インプウ」と呼ばれ、「王家の子」を意味する。第一王朝時代には墓の番人としてすでに石碑などに登場した古い神の一柱。古王国時代にはのちにオシリスにとって変わられる死者の神で、死後の世界の公平を担保する・死者を守護する神として非常に人気があった。
ある地域・時代の神話ではラーの息子だったりバステトの息子だったりするが、最も有名な神話ではオシリスとネフティスの子供だとされる。セトの妻だったネフティスが兄であるオシリスに横恋慕、騙し討ちして生んだもののセトを怖れて捨て、オシリスの妻イシスが育てたというものだ。この神話は独立したアヌビスという神をオシリス神話に組み込んだものだと考える学者も多い。
王家の谷KV17のセティ一世の墓、KV57・ホルエムヘブの墓などには美しいレリーフが残されているほか、KV62・ツタンカーメンの墓から出土した祭壇など多くの芸術作品が残されている。
ヒエログリフ:
関連する要素:土
関連する色:黒
シンボル:アンク ウアス杖
神聖動物:犬 ジャッカル 狼
キーワード:再生 清め 生命 素早さ 冥界
祀られている神殿:デンデラ神殿複合体 コム・オンボ神殿 カルナック神殿 ルクソール神殿など