365日 光と闇の暦 3月4日 海の母、入江の闇 イエマンジャとオロサ
イエマンジャ祭(ブラジル)
今日の光の神:イエマンジャ(西アフリカ・ブラジル、海と母性の神)
イエマンジャ(Yemanjá)は、西アフリカのヨルバ族(Yorùbá)神話に登場する海と母性のオリシャ(神)です。「魚の子たちの母」を意味する名の通り、全海洋生物を統べ、漁師たちの守護者として崇拝されています。奴隷貿易のためにヨルバの人々がブラジルやカリブ海諸国へ連行されたとき、イエマンジャ信仰も大西洋を渡りました。ブラジルでは2月2日や大晦日に大きな祭りが行われ、白い服を着た信者たちが海辺で花や香水、鏡などを海に捧げます。人魚の姿で描かれることが多く、不妊に悩む女性に子を授け、船乗りを嵐から守ります。
今日の闇の神:オロサ(西アフリカ、ラグーンの女神)
オロサ(Olosa)は、ヨルバ神話でのラグーンの女神です。イエマンジャの姉妹で、開けた海ではなく入り組んだ汽水域を支配します。ラグーンは海と陸の境界で、淡水と海水が混じり合う場所です。オロサはその曖昧な領域を統治し、ワニを眷属にして従えています。漁師たちはオロサの怒りを買わぬよう、ラグーンで漁をする前に供物を捧げてきました。イエマンジャのような親しみやすさはなく、彼女の領域は複雑です。どこまでが水でどこからが陸かわからない場所に踏み込む者は、自分がどこにいるのか現在地を見失う危険を伴います。
光と闇
イエマンジャとオロサは開かれた海と閉じた入江の対比となっています。大海は航海する者に方角を見失わせますが、どこへでも行ける自由を内包するでしょう。ラグーンは安全に見える反面、複雑に入り組んでいて出口を見つけにくいのが特徴です。奴隷船に乗せられたヨルバの人々にとって、大西洋は絶望の海そのものだったでしょう。しかし彼らは、その海を母神イエマンジャが司っていると信じました。人生の歩みにも、視界の開けた海とラグーンに閉じ込められたような時期があるのかもしれません。
この日のテーマ 開けた海と閉じた入江
私たちは平穏な陸にいるつもりで、実はどちらともつかない汽水域を彷徨っているのではないでしょうか。大海に向けて漕ぎ出す勇気と曖昧な場所で迷子になる恐怖は常に隣り合わせです。広大な可能性を求めるなら未知の海に対する畏怖を引き受けなければなりません。一方で、オロサが司る停滞したラグーンにいるのなら、それは次なる航海に向けた養分を蓄える時間なのかもしれません。あなたが今、求めているのはすべてを飲み込む大海の抱擁でしょうか。それとも、静寂の中で自分を熟成させる入江の闇でしょうか。
どこまでも開けた海を進むなら、常に自分自身で進路を決め続けなければなりません。その一方、出口のない入江に留まるのは、重圧がない代わりに閉塞した状況の中に自分自身を閉じ込めることでもあります。今感じている閉塞感が外部からの制約なのか、それとも多くの選択肢を前にして自ら選んだものなのかを知るのはあなただけです。なぜ自分が今の状況にあるのかという理由を見つめたとき、次に進むべき方向が見えてくるかもしれません。