聖ワルプルガ

365日 光と闇の暦 4月30日 聖女と魔女 聖ワルプルガと魔女たち

今日の光の神:聖ヴァルプルガ(キリスト教・修道女)

 イングランド出身の修道女・聖ワルプルガ(Walpurga/Walburga, 710頃-779)は、叔父の聖ボニファティウスらと共にドイツに渡ってキリスト教の布教に尽力しました。5月1日は彼女の聖遺物がハイデンハイムへ移送された記念日にあたり、その前夜はヴァルプルギスの夜として知られています。狂犬病や家畜の病、農作物の害虫被害を退ける守護聖人とされ、中世ドイツでは生活の安全を願う人々の間で広く信仰されました。彼女の岩墓から滲み出す聖油は「ヴァルプルギスの聖油」と呼ばれ、治癒を願う巡礼者に分け与えられています。

今日の闇の神:魔女たち(ゲルマン伝承・ブロッケン山の魔女)

 ハルツ山地の最高峰であるブロッケン山は、魔女たちが山頂で悪魔とサバトを開く舞台とされています。一年中霧に包まれ「ブロッケンの妖怪」現象が起きる切り立った山に登ったゲーテは、『ファウスト』の第一部で魔女が豚や箒に跨って不吉な歌を歌いながら山に殺到する姿を描きました。これは北欧の「メイ・イヴ」などの春の祝祭が、キリスト教化の過程で邪悪な儀式に変えられていったと考えられます。人々は家の扉に十字架の印をつけ、鞭を鳴らしたり家畜の角に塩を塗ったりして魔女が村に入らないよう魔除けをしていました。

光と闇

 キリスト教は古くからその土地で行われていた五月祭(メイ・イブ)を聖人の祝祭で上書きしようとしましたが、人々が守ってきた信仰を完全に消し去ることはできませんでした。聖ワルプルガへの祈りと魔女が暴れるのではないかという恐怖は表裏一体となり、同じ夜に定着することになったのです。これは信仰を完全に上書きすることができなかったという歴史を表しています。聖と魔は分断されないまま、この地域の枠組みの中で今も生きているのです。

この日のテーマ 聖と魔の境界

 日本では逢魔が時という言葉がありますが、世界中で境界の時間には不思議なことが起きると考えられてきました。夕暮れ時に何とも言えない切なさや不安を感じるのは、光と闇どちらにも属さない境界の時間帯だからかもしれません。あなたは日常の中で「どちらでもない」状態にいる自分を意識したことがあるでしょうか。境界は不安定で怖さを感じるところかもしれませんが、逆の視点で考えると自由にいられるということでもあります。どちらの領域にも属さない状態にいるとき、私たちはどのように「自分」を定義するのでしょうか。

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