365日 光と闇の暦 5月3日 言葉が世界を形作る ヴァーチとエリス
今日の光の神:ヴァーチ(ヴェーダ・言葉の女神)
ヴァーチ(サンスクリット: वाच् / Vāc)は古代インドのヴェーダの中に登場する言葉の女神です。サンスクリット語でヴァーチは「言葉」や「声」を意味しており、神々の中でも早い時期から崇められてきました。リグ・ヴェーダにはヴァーチ自身の詩として「私は天と地の間を歩く。私がいなければ神々も力を持てない」とあります。儀式で唱えられる聖なるマントラは彼女を体現したもので、正しく発音された言葉は宇宙の秩序を保つと考えられてきました。
今日の闇の神:エリス(ギリシャ神話・不和の女神)
ギリシャ神話で不和と争いの女神として知られるのがエリス(ギリシャ語: Ἔρις / Eris)です。エリスの言葉は人々の間に亀裂を生み、平和を破壊します。中でも有名なのは「パリスの審判」の発端となった事件です。テティスとペレウスの結婚式に招かれなかったエリスは「最も美しい女神へ」と刻んだ黄金のリンゴを宴席に投げ込みました。このたった一言がヘラ・アテナ・アフロディーテの争いを引き起こし、トロイア戦争という大惨事に繋がったのです。
光と闇
ヴァーチの言葉は宇宙に秩序をもたらし、逆にエリスの言葉は混乱や争いを生みました。同じ「言葉」という道具でも、その使い方によって創造することもできれば破壊をもたらすこともできるのです。どんな言葉を選んでどう音にするかによって、その言葉が発されたあとの世界の形が決まっていきます。言葉の力を軽んじて使い方を誤る人は、自身の言葉によって世界を崩壊させる可能性をはらんでいます。
この日のテーマ 発した言葉の行方
過去に何気なく言われた言葉で、今でも胸に刺さっているようなものはありませんか?言った本人は忘れていても、言われた側にとっては何年も傷として残ってしまうことがあります。同じようにあなたの何気ない一言も、誰かの人生に影響を与えているかもしれません。言葉は発した瞬間に自分の身から離れ、勝手に育ってしまいます。あなたは昨日自分が発した言葉を思い出せますか?その言葉は今、相手の中でどうなっているでしょうか。