世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。
「首持ち伯爵」はイギリスに伝わる幽霊伝説の一つ、首を持ち歩く貴族の幽霊に関する話です。2024年パリオリンピックの開会式の演出の一つでも物議を醸しました。フランスではギロチンでの斬首刑が行われていましたが、中世イギリスでは斧による斬首刑が一般的・・・。死刑執行人は斧での斬首を行っていました。
しかし、斧による斬首は相当な技量と質の良い斧がないと非常に難しく、頸椎の骨のつなぎ目をいかに正確に断ち切るかが重要で、うまくいかない時には・・・。想像するのも恐ろしい光景が広がっていたんだと思います。魚をさばくときでも背骨の切断には出刃包丁で何回も叩きつけて斬ったりしますからね…。おー、怖い。
各地の話も似たような内容で構成されています。まず、処刑された貴族の幽霊であること。幽霊として現れる時には切り落とされた自分の首を手にもっていること。斧によって上手に出来ずに苦痛を与えてしまう処刑が幽霊を生み出してしまったのかも知れません。目撃される場所は古城や館、特に処刑が行われた場所は陰謀に関わった場所のことが多いです。
イギリス・ロンドンにはホランドハウスと呼ばれる初代ホランド伯爵が所有していた館があります。第二次世界大戦のロンドン大空襲で爆撃にあい破壊されてしまいしたが、跡地はホランド・パークとして公開されていて、現在でもオペラコンサートなどに使用されています。初代ホランド伯爵はイングランド内戦において議会と対立したチャールズ1世を支持したため、議会派により逮捕され処刑されてしまいました。そう、上で紹介した斬首刑です。これらの事が起きて、自分の首を抱えて歩くホランド伯爵の幽霊が何度も目撃されるようになったそうです。
イギリスではこのような斬首刑が起きた場所では首持ち伯爵の幽霊の逸話が多く語り継がれていることから、歴史がある場所で歴史のある方が処刑された場所には夜な夜な幽霊が現れると言う都市伝説が出来上がったのかも知れませんね。ホランド伯爵の幽霊は危害を加えてくることは無いそうなので、もし実際に目の前に現れたら色々お話してみたいです。