世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。
ウィストマンズウッドの黒い犬は、イギリスに現れるという犬にまつわる都市伝説です。イギリスのデヴォン州にある古代温帯熱帯雨林の一つがウィストマンズウッドと呼ばれています。ダートムーア国立公園にあり、奇妙にねじれたオークの木々や苔むした岩々が特徴。神秘的な雰囲気が漂う場所で、古代ケルトの司祭、ドルイドが住んでいたとも言われる森です。なんと紀元前 7000 年まで遡る古代の森だそうです。
黒い犬の伝承はイギリス各地に広がっていて、死の前兆だったり悪魔や地獄と結び付けられることが多々あります。その中でもウィストマンズウッドの黒い犬は悪名高く「地獄の猟犬」や「ヘルハウンド」などと呼ばれることがあります。どちらもファンタジーRPGによく出てくる名前ですよね。地獄の使い、悪魔の使いとして世界中の神話に登場するのですが、ギリシャ神話では頭が三つある地獄の門番・ケルベロスとして、ケルト神話では妖精の猟犬として描かれています。
日本でも昭和の時代には黒猫は縁起が悪いなどと言われていましたが、それと似た感じで黒い犬は縁起が悪いものとされていたんですね。日本ではネコブームが続いているので「黒猫は縁起が悪い!」なんて人は大分減ってきましたね。かわいいですからね…。縁起が悪いとか言い始めたのはどいつだ!
黒い犬に共通する特徴として、普通の犬よりも大きい黒い体、真っ赤な目、時に炎を操るなどがあります。どれも地獄や死を連想させる不吉な存在とされていることが多く、ウィストマンズウッドの黒い犬も、この犬に捕まってしまうと少なくとも1年以内に死を迎えると言い伝えられています。
北欧神話ではハロウィンからは霊界との壁が薄くなり、オーディンが魔物や精霊、そして犬を従えてワイルドハントを始めると言われています。多くの悪霊や魔物、悪魔たちと狩りをするのがウィストマンズウッドの黒い犬、ヘルハウンドです。もし出会ったら心のきれいさや勇気だけでなく、ユーモアのセンスまで試されます。合格すれば土産と共に家に帰れますが、不合格だとこの軍団と共に空を駆け回り続けることに・・・。
ウィストマンズウッドの森は観光地になっているので、訪れる人々の間で語り継がれています。霧がかかると幻想的な雰囲気になり、本当に何かこの世のモノではない存在がそこかしこに潜んでいるかのような不気味さを感じられる場所になっているそうなので、イギリス旅行の際には足を運んでみてはいかがでしょうか。
黒い犬に会ってしまっても責任は持てませんが…。