DocAtRS, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。
「ポリビアス」はアメリカに伝わる、ゲームに関する都市伝説です。この都市伝説はアメリカに伝わるものです。1981年初頭に「ポリビアス」と言うタイトルのアーケード向けゲームがアメリカ・オレゴン州ポートランドに数台のみ設置されていたと言われています。見た目は黒い筐体で、シューティングゲームに似たようなゲーム性をしていましたが、独特の視覚効果と幻覚を引き起こすような映像が使われていたと言われています。
一度プレイをすると病みつきになる人が続出し、筐体の周りには行列ができ、遊ぶ順番を巡って喧嘩も発生したそうです。定期的に黒い服をきた男たちが筐体に現れて、蓄積されたデータを集めてゲームが人間にどのような影響を及ぼしたのかを解析していたんだとか・・・。設置から一か月後、筐体は回収されゲームセンターから姿を消しました。「ポリビアス」を遊んだ人たちはその後、健忘・不眠・幻覚などに悩まされたようです。
このゲームを作った会社はドイツの”Sinneslöschen”社と言われています。ドイツ語で「感覚の削除」と言う意味だそうです。このストーリーにピッタリの名前をしていますよね…。しかしこのような名前の会社はどこにもありませんでした。
この都市伝説は2003年にアメリカのゲーム誌で掲載されたのが最初と言われていますが、記載されていたコーナーが”Secrets and Lies”。日本語で直訳すると”秘密と嘘”とコーナーでした。秘密の方だったのか嘘の方だったのか…。日本のゲーム誌でもウソ技なるものが掲載されていたものもありますからね。裏技だと思って日が暮れるまで試した結果それがウソだったなんてことも…。もちろん筆者は騙された方です。ええ、水晶の龍ですとも。
なので、筆者自身は「ポリビアス」もちょっとしたジョークだった可能性もあるような気がしますが、ゲームによって体調が悪くなったり、副作用が出たりすることもあったのかなとは思います。30年位前でしょうか、ビデオドラッグとか映像ドラッグと呼ばれるチカチカする映像と爆音トランス音楽が流れるビデオが流行ったことがありましたよね。その後、ポケモンショックと呼ばれる、映像における点滅表現で光過敏小発作が起きたことからもわかるように、映像が人体に影響を与えることは確実にあるんです。
もし小さい会社がテスト的に設置したアーケードゲームがあったとして、さらにそれをプレイした子供がてんかんの発作を起こしてしまったとして、ゲームを回収したという出来事があったとしたら…。それが元になってこの都市伝説が作られたと言うこともあるのではないかと。会社名や副作用についてはストーリーが伝わっていくうちに尾ひれがついたり、変化していったと考えれば辻褄は合いますからね。あながち全部が都市伝説ではないのかも知れません。事実が混ざっているからこそ惑わされ、信じた人々によって伝聞が広がっていくのかなと思います。
ちなみにこの「ポリビアス」を元にしたゲームが作られています。都市伝説になった「ポリビアス」ではなく、「ポリビアス」を元に制作したポリビウスなのでお間違えの無いよう…。