
世界の都市伝説:エスカランテの化石の呪い
世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。
アメリカのユタ州にあるエスカランテ・ペトリファイド・フォレスト州立公園は、洪水と浸食によって作られたテーブル上の台地が形成されています。1億3500万~1億5500万年前、大きな洪水によって大きな木が泥に埋もれてしまいました。沢山の木材がその泥の中で化石となって現代にも保存される事となりました。
石化した木材は、その過程の中で様々なミネラル分を吸収し、その成分によってオレンジや赤、黄色、青や黒や紫など色とりどりの化石を作り出しました。この美しい見た目をした化石はまるで宝石のようだと言われ、1億年以上も昔のものとなればその希少価値から持ち帰ってしまおうと悪いことを考える輩が出てきてしまうのも容易に想像できますよね。
しかしこの公園にはこんな言い伝えがありました。
”珪化木(木の化石)を持ち帰ったものには不運が訪れる”
”それは呪いであり、自然の怒りだ”
この公園の管理事務所の男性は2014年に「毎年約12個のパッケージされた珪化木と、送信者に起きた不幸の詳細と謝罪の手紙が送られてきている」と話しています。ある男性は「呪いの事は知っていたものの好奇心で持ち出してしまった。その後仕事を失い、病気が続き、家庭が壊れてしまった。化石の呪いとしか思えない。どうかこの化石を元の場所に戻してもらえないだろうか」と書いた手紙と持ち出した珪化木を送ってきたそうです。
もちろんこの公園では人々が珪化木を持ち出すことを法律で禁止しています。ある手紙では「公園からこっそり持ち出すのはすごいチャレンジだった。しかし、その時以来私の人生は全くうまくいかなくなってしまった」と書かれていました。
いつからこのような呪いの話が出たのかは定かではありません。一説によると1930年代から広がったとも言われていますが正確な起源は不明なままです。持ち出されることの懸念から人々の良心や罪悪感に訴えるために生み出された逸話なのかも知れません。実際に入口付近にあった珪化木はほとんど見られなくなってしまい、結構奥まで進まないと見ることが出来なくなってしまったそうです。
だとしても、実際に不運に見舞われる人たちが出てくるのだから不思議ですよね。人間の思い込みがそうさせるのか、話が出来た時に実際に呪いが具現化したのか、調べることは出来ないのですが説明が出来ない不思議な現象が起きていることには間違いありません。
この森林公園は現在でも訪れることが出来ます。トレイルウォークをすることも出来ますし、キャンプ場の施設もあるので自然に触れあいながら古代の森に思いをはせることも可能です。でも、もし行ったとしても珪化木を持ち出してはいけませんよ!

