モントーク・プロジェクト タイムトラベルの実験は本当にあったのか

フィラデルフィア実験の「その後」

 フィラデルフィア実験 テレポーテーションした米海軍駆逐艦では、今でも陰謀論界隈ではまことしやかに囁かれる実験について書いた。この「1943年のフィラデルフィア実験で米海軍がテレポーテーションに成功した」という話は、ほとんど証拠はないのに80年以上も鎮火していない。それどころか、1980年代後半になってからさらなる続編まで付け加えられている。

 その続編では、ニューヨークのロングアイランド、最東端のモントーク岬にあった空軍基地が舞台となった。フィラデルフィア実験を引き継いだ実験や研究が行われ、タイムトラベルやマインドコントロール、異次元との交信が行われていたという「モントーク・プロジェクト」だ。

キャンプ・ヒーロー ロングアイランドの廃軍事基地

 舞台となったキャンプ・ヒーローは過去に実在した軍事施設だ。第二次世界大戦中に沿岸を防衛するための砲台基地として建てられ、冷戦期には空軍のレーダー基地となった。このときに巨大なAN/FPS-35レーダーアンテナが設置され、最終的には半自動防空管制組織(SAGE)としてソ連の爆撃機を探知するために使われていた。

 レーダー技術が進歩してAN/FPS-35が旧式になり、1981年に基地は閉鎖された。巨大なレーダーアンテナは海を見下ろすように残され、廃墟のような景色が広がっていた。だが20年余りが経った2002年にニューヨーク州立公園として開放され、現在はキャンプ・ヒーロー州立公園として親しまれている。旧式のレーダーアンテナは州の歴史的登録物になった。

モントーク・プロジェクトとは

 1992年に出版された『The Montauk Project: Experiments in Time』が、モントーク・プロジェクトという言葉を広めた最初の、かつ実質的に唯一の情報源だ。著者はプレストン・ニコルズとピーター・ムーン、ニコルズの主張は下記のようなものだ。

 70年代から80年代にかけて、キャンプ・ヒーローの地下施設ではフィラデルフィア実験を引き継いだ研究が行われていた。レーダー装置を改造したマインドコントロール技術、被験者を使った超能力開発、タイムトラベル、異次元へのポータルの開放などが実験されていた。ニコルズは技術者として関わっており、記憶を消されていたが後になって思い出した。

 本はシリーズ化され、続編が何冊も出版された。だがニコルズがキャンプ・ヒーローで勤務していたことを裏付ける記録はないか、もしくは公開されていない。物証がないため、証拠は基本的にニコルズ自身の証言だけだ。

実在したもの、実在しなかったもの

 モントーク・プロジェクトのストーリーには実在の要素とでっちあげが織り交ぜられており、これが信憑性を微妙に保っている。

 キャンプ・ヒーロー空軍基地は実在した。AN/FPS-35レーダーアンテナも実在し、現在でも見ることができる。基地に沿岸砲台の弾薬庫として建造された地下構造物があることも事実だ。そして冷戦期のアメリカが秘密裏に研究を行っていたこともわかっている。

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