【オーパーツ インドの錆びない鉄柱】
オーパーツご紹介、今回はインドにある「錆びない鉄柱」です。この「錆びない鉄柱」、文字通り長い年月錆びることなく立っている鉄柱です。デリー郊外のクトゥブ・ミナール、インド最古のミナレットの中に立っています。ミナレットというのはイスラム教の宗教施設についている高くて細い塔のことです。初期のイスラム世界ではこれをイスラムの権威の象徴として建てていました。現在でもクトゥブ・コンプレックスを訪れればこの鉄柱を見ることが出来ます。
この鉄柱は、直径約44cm、高さ約7m、重さは約10トンの柱。材質は純度99.72%と言う高純度の鉄です。表面にはサンスクリット語で碑文が刻まれ、先端にはチャクラがあしらわれています。碑文にはこの柱がヴィシュヌ寺院に建てられたこと、チャンドラグプタ2世を記念して移設されたことなどが記されているので、1600年ほど前からある計算になりますね。
1600年も鉄が錆びないでいられるのでしょうか。この地方は比較的乾燥していますが、雨季もあり近くには川もあります。錆びる条件は酸素と水分です。湿度や温度の影響で鉄の表面に空気中の水分が付着し、空気中の酸素によって酸化すると錆びができます。逆に水分を含まない乾燥した空気の中や、酸素を含まない純水の中では錆びが発生しません。では、この鉄柱はなぜ錆びないのでしょう。
【錆びない鉄柱の正体】
現代の研究で、インドで採れる鉄鉱石にはリンが多く含まれている事がわかりました。さらに、鉄を精製する時にリンを含む植物が加えられていた記録も。リンを含んだ鉄を加熱しながら叩くと、表面にリン酸化合物がコーティングされます。これを何回も何回も叩いては伸ばし叩いては伸ばしをして一体化させたものが錆びにくい鉄の正体です。
しかし、1600年も昔に錆びない鉄が生み出されていたのは驚きですよね。現在でも鉄は錆びるものが常識なのに、何故この技術がほかに応用されないのでしょうか…。リンの含有量が多いと使い勝手が悪かったりするんですかね。
しかしこの時代にここまで純度が高い鉄を作り出したこともすごいことで、現在世界で最高の純度を誇る鉄の塊は2011年に東北大学の教授が製造した99.9996%の鉄です。現代の技術をもってしても1600年も前の鉄の塊とは0.2%強しか差がないものが作られていたと。この古代インドの製鉄技術にも驚かされますね。それでは今回はこの辺で。