今回は「カンブリア紀の金属ボルト」をご紹介します。「カンブリア紀の金属ボルト」は、1997年ロシア・ブリャンスクの森林地帯で発見されました。岩の中に埋め込まれるようにボルトがあり、この岩石はおよそ15億年前に生成されたものだと判明しました。ボルトもこの岩と同じ時代のものと考えられています。
このボルトは数トンの力を加えても変形しないほど屈強で、内部をX線で調べたところ岩石の内部にも10個ほどの小さいボルトが確認されたとのことです。しかし…このオーパーツ、「カンブリア紀の金属ボルト」として知られていますが、カンブリア紀はおよそ5億年ほど前の時代のことで、15億年前は先カンブリア紀と呼ばれています。46億年前の地球誕生からカンブリア紀が始まる5.4億年前まではが全部先カンブリア紀なんですよね。発見された地層から「カンブリア紀の金属ボルト」とされたようですが、この解釈の違いでこの金属ボルトがどのようなものか意見が分かれるかもしれません。
15億年前の先カンブリア紀に現在のような大陸はなく、有名な超巨大大陸パンゲアのような、地上にある大陸が集まった超大陸が存在したのではないかとも言われています。この時代の後期には地球全体が氷で覆われるほどの氷期が続いたこともわかっていて、当時の生き物は壊滅的な状態…、地球上の全ての生物が活動停止していたことがわかってています。とは言っても、この時代の生物はまだ細菌類が主体で、この後の原生代に入らないと動物などの化石は見つからないんですが…。植物の多細胞生物の最も古い化石はカナダのサマーセット等で発見された紅藻類の化石で、7.5億~12.5億年前の化石と言われています。
この金属ボルトですが、もちろん異論を唱える学者もいて、現在最も有力な説はウミユリの化石ではないかという説です。ウミユリは生きた化石と言われ、現在でも海に生息している棘皮動物(きょくひどうぶつ)です。名前からは植物をイメージしてしまいますが、ウニやヒトデの仲間です。このウミユリの化石が多く見つかるのは約2.5億年前の地層で、ウミユリ自体はカンブリア紀に生まれた種であると考えられています。
これらを考えるとかなり年代の幅があり、現在日本で言われている「カンブリア紀の金属ボルト」かどうかはあやふやだと言えるでしょう。まず岩石が作られた年代が違うこと、ウミユリ説でもウミユリが発展した時代が岩石やボルトなどとは大きく年代が違うことなどから、どの説も大きな矛盾を抱えてしまいます。「カンブリア紀の金属ボルト」がカンブリア紀にいたのかどうかが不明なウミユリの仲間だとしても、金属と判定されることも謎となってしまいます。
現在インターネットを探しても、この年代とウミユリについての矛盾はどこでも解明されておらず、カンブリア紀のものとして紹介されているところが多いのですが、本サイトではあえてこの年代のズレが起きてしまうことがオーパーツと認定しても良いのではないかと思ってご紹介させていただきました。
皆さんはどうお考えになりますか?それでは今回はこの辺で。