シードマスター説とは、地球上の生命の誕生や進化、或いは絶滅といったものを支配している”存在”がいるのではないか?とする説のことを言う。大災害や隕石の衝突、突如発症する伝染病、謎の文明、種の誕生、絶滅など、今もって科学的説明のつかない事象は多種多様にある。シードマスター説は、こういった諸々の現象をシードマスターという、人智を越えた存在が意図的に引き起こしているとして、全てを定義づける。
例えば恐竜を例に取ってみよう。嘗て恐竜は、固有の種に限らず広く分布し、世界を支配していた。然しある日突然、隕石の飛来に因って氷河期が訪れ、絶滅している。強大で、個体数も多く、生息域もそれぞれであったにも関わらず、ただ一つの例外もなく。不思議に思わないだろうか?奇跡的に生命が萌芽し、進化を経て誕生した、恐竜という支配者たる存在。それが、突如回避不可能な災害に見えて、絶滅する事となる。
嘆かわしいとも言える。偶然とする事も勿論。でも実はそれが、誰かの意図する幕引きだったらどうだろう?
生態系に有利な環境を整え、生命という種を蒔き、それが如何な行動をし、どう進化をしていくのかを観察するという、一つの実験。その一つの終着点が、支配者として君臨する恐竜だったとしたなら。停滞した実験を進める為、敢えてそれらを淘汰し、次段階に移ったに過ぎないのだとしたら…。
馬鹿馬鹿しいと一蹴するのは容易い。宗教的だと笑い飛ばす事もできるだろう。だが、今現在、支配者然として地球上に跋扈している我々はどうだろう?本当に貴君らは自らを統治できていると言い切れるのだろうか?互いに互いを認めず諍い、常に未知の病原菌に晒され、異常気象に翻弄される我々は。一体どうだろうか?
熱帯魚の水槽にそうする様に、地球の温度を1℃あげてみてはどうだろう?と、温度調整をされていやしないだろうか。
新しい細菌を植え付けたら抵抗力は上がるだろうか?諍いの火種を埋め込んだらば、また共食いをするのだろうか?増え過ぎれば間引きも手か。
そんな風に、シードマスターによる実験材料の一因となっているかもしれない。これから先、更に進む自然破壊や、人口減少、その中で、どう進化、或いは絶滅するのか。それらを全てを、実験し、観察し、記録され。そうではないと、果たして誰が言い切れるだろうか?
生命、科学、思想。気の遠くなる様な生物、人類、或いは星々。その歴史、文化、理は、ともすれば、シードマスターが行う机上実験の一つに過ぎないのかもしれない。