今回は「ドーチェスターポット」をご紹介したいと思います。
これは1851年にアメリカのマサチューセッツ州ドーチェスターにあるミーティング・ハウス・ヒルと呼ばれるエリアで行われた爆破作業中に発見された金属製の花瓶のような出土品のことを指します。地元紙によると、2つの破片は爆発で飛び散った残骸の中に散らばった状態で発見され、地表から3mほど下の固い礫岩から爆破されて出てきたものだと推測されたと発表がありました。
礫岩と言うのは、ざっくり言うと丸みを帯びた石と砂利のような細かい粒子の堆積物で構成される堆積岩です。水や氷河によって丸くなった石や砂が堆積して時間の経過とともに圧力によって固まったものです。
この花瓶?はベルのようにも見える壺の形をしており、高さがおよそ11cm、底部の直径がおよそ17cm、上部の直径がおよそ6.4cmと説明があります。銀を混ぜた亜鉛に似た色をしているとされ、側面には花または花束のような図が6つ描かれており、純銀でキレイに象嵌されています。(象嵌とは、違う素材のものを嵌め込む手法を指します)壺の下部にも銀が象嵌されたツタまたは花輪があしらわれています。しかしこの壺に関する一次資料には、どの年代に作られたものなのか推定値は記載されていませんでした。
地質学的に見ると、この壺が出てきた礫岩は5億7000万年から5億9300万年前のエディアカラ紀に堆積したものとされています。ゆえに、この壺、ドーチェスターポットもこのエディアカラ紀に作られたものであると推測されたことにより、オーパーツの仲間入りを果たしました。
エディアカラ紀と言うのは現代のような動物はもちろん形作られておらず、この壺を作れるような生き物がいたとは到底考えられないほどの大昔のことです。作れる生物がいない地層から出てきたとしたらとんでもないロマンが詰まっていますね。
残念ながら、このドーチェスターポットはいくつかの博物館を移送されていくうちに失ってしまわれたと言われています。現存するものは当時撮られた写真のみとなっています。写真を見る限り、完全に人の手による制作物ですし、キレイな装飾もされているとてもオシャレなポットだと思うのですが、如何せん現物がないのでこれ以上の調査は出来ずじまい…。
もちろん異論もありますが、調査が出来ない以上これはこれでオーパーツなんだと思います。この地層にもぐりこんでしまっただけだとしても、どのようにしたらこんな大昔の地層に入り込めるのかもわかりませんからね。
それでは今回はこの辺で。