スピリチュアルの世界ではよく「あなたはアトランティス系」とか「レムリア系」などと言われます。それぞれ大西洋、インド洋または太平洋にあったとされ、ブラヴァツキー夫人やルドルフ・シュタイナーが言及したりジュール・ヴェルヌの『海底二万里』に登場したこともあってオカルト的な興味を引くことになった大陸です。
レムリア大陸に関しては実際に見聞きしたという文献がありませんが、アトランティスについてはプラトンによる『ディマイオス クリティアス』があります。古代の偉大な哲学者プラトン、「無知の知」という言葉は有名ですよね。アトランティスはまずソロンというギリシャの賢者がエジプトのサイスに行ったときの話の中で出てきます。
大洋にはあなた方が「ヘラクレスの柱」と呼ぶ入口の前方に、リビュアとアシアを合わせたよりも大きな島があったからである。(中略)さて、このアトランティス島に(中略)しかし後に、異常な地震と洪水が何度も起こり、突如過酷な一昼夜が降りかかった時(中略)アトランティス島も同様に、海に没し姿を消したのだ。 白澤社・現代書館『ディマイオス クリアティス』より
ヘラクレスの柱はジブラルタル海峡、リビュアは現在のエジプト以西のアフリカのことです。ソロンがサイスに行ったのは紀元前560-570年頃とされますので、エジプト第26王朝(ネコ1世から始まった王朝)のアマシス2世時代にあたります。エジプトの歴史からするとかなり後期ですね。
アトランティスについての描写がより詳しいのは『クリティアス』に入ってからです。
この国(アテナイ)は一方の側を支配し、(中略)アトランティス島の王たちがもう一方の側を支配したといわれている。(中略)今は地震によって沈み、泥土となって、これがここ(地中海)から概要へと船出する人々が、それ以上前に進むことの障害になっている。 (同)
『クリティアス』は副題が『アトランティスの物語』です。『クリティアス』によれば、アトランティスは次のような国でした。
・神々が大地を分配、アトランティス島を受け取ったのはポセイドン
・海岸から島の中央部にかけては平野があり、海岸線は崖だった
・大地から生まれた人たちの夫婦が平野に住んでいて、娘はポセイドンの妻に
・その妻が住む丘の周囲を砕いて、大小の海と陸で囲んだ(下図参照)
・環状帯を島の中央から等しい距離にした(人間が渡れないようにした)
・アトランティス島を十分割、生まれた十人の子供たちを領主にした
・オリハルコンがいたるところにあった
・象などの動物たち、植物も穀物なども豊富
・大きなポセイドン神殿があり、王たちは牡牛を捧げていた
・ポセイドンの神性が薄れていくと王たちは徳を減らし見苦しいふるまいをするようになった
・ゼウスは彼らに罰を与えようと決め、ほかの神々を集めた
(後編に続く)