今回は1万年前のものとされるアルミニウムの塊についてご紹介します。
1974年、ルーマニアのシルヴァニア州アルバ県にある小さな町で、川の土手での作業中に深さ10mほどの溝の中から3つの遺物が発見されました。そのうち2つはマストドンと言う大昔に生息していたゾウの仲間の化石でした。このマストドンと言う生き物は約4000万年前から11000万年前まで生存していた種と言われています。
そして、残りの1つがこのアルミニウムの塊でした。これはハンマーの頭や斧の頭に似た形をしており、長さは約20cm、幅が約12cm、高さが約7cmほどの金属塊です。この金属塊を研究所で調べてみると89%がアルミニウムで出来た合金である事がわかりました。アルミニウムという元素は自然界に存在していますが、このような形で見つかることはありません。ボーキサイトという岩石を精錬することでアルミニウムを抽出することが出来ます。この精錬法は1800年代後半に確立されました。
ですので、約4000万年前から11000万年前まで存在していたマストドンの化石と1800年代後半に作れるようになったアルミニウムの塊が同じ地層から同じタイミングで発掘されたのならば完全にオーパーツです。
その後再度検証されましたが、少なくとも300年は前の物だと言うことと表面に約1mmの酸化被膜が生成されていることがわかりました。ザックリ言うと錆びの膜ですね。鉄などとは違い、アルミニウムは表面に錆びの膜を生成する性質があります。この膜のおかげで内部まで錆びが進行することがとても遅くなります。
このアルミニウムの塊をUFOから落ちた破片とする説や航空機から落ちたパーツとする説、工事中の重機から落ちたものとする説がありますが、現在はまだハッキリとしていません。現物があるとは言え、発掘された状況や地質、地層などは調査出来ないようなので結論が出るかどうかはわかりませんが…。現在はルーマニア北西部クルジュ=ナポカにある歴史博物館に陳列されているそうなので、興味がある方は是非ご覧ください。
それでは今回はこの辺で。