詳細な記述のためアトランティスが実在すると考える人もいましたが、古代ギリシャ・ローマでもこれは寓話だと考える人が圧倒的に多かったようです。
その後は重要視されることもあまりなく、現在のスピリチュアルとアトランティスを結びつけたのはアトランティス―大洪水前の世界』という1882年に出版された本でしょう。著者のイグネイシャス・ロヨーラ・ドネリーはプラトンは事実を述べているとし、「アトランティス人は人類最初の文明」「大洪水によって住民のほとんどと共に沈んだ」「エジプトやペルーの太陽信仰はアトランティスから来た」「アトランティスはアーリア人とセム語族の大元」などと主張しました。
ブラヴァツキー夫人とシュタイナーは同系統の宇宙創成神話をチャネリングしましたが「ピラミッドや中米、ドルイドの神殿はアトランティス由来」としています。「眠れる予言者」エドガー・ケイシーは、クライアントの多くがアトランティスから転生していたと言いました。「アトランティスは文明や人類の発祥の地」ということでヒトラーなど白人至上主義者の根拠として使われたという側面もあります。アーリア人発祥の地というのはドネリ―の説を信じたのかもしれませんね。
以前神保町で『アトランティス』というかなり古い本を買ったことがあります。確か筆者はドイツ人の方だったと思うんですが、アトランティスがあるのではないかと言われてきた場所を地理的・地政学的に片っ端から考察するというマニアックな感じで…。一通り読んだんですが、どことも結論づけられないという結果でした。
でも「神の子供たちと人間たちが一緒に暮らす進んだ文明を持った国があって、神の血が薄まって自分さえよければいいという粗暴なふるまいをするようになり、絶対的な神に罰されて…」という内容を考えると、自分たちはこれで大丈夫なのかな、という気がしますね…。アトランティスがもし実在して、海に沈んでいったのだとしたら、私たちはそこから何かを学ばなければならないのかもしれません。