左画像:Giewiz, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
今回はアメリカのニューメキシコ州にある「奇跡の階段」と呼ばれる螺旋階段をご紹介します。
この螺旋階段はニューメキシコ州にあるサンタフェと言う町にある、”ロレットチャペル”と呼ばれる礼拝堂(チャペル)にあります。この礼拝堂は1873年に修道女会が女子校を建てたいとフランス人の建築家に依頼し、その息子と共に5年の歳月をかけて建設されました。1968年に学校が閉校になるまで、アカデミーの生徒と修道女によって日常的に使われていましたが、その後、私有の博物館と結婚式場として使われるようになり、学校のキャンパス部分は取り壊されたそうです。
「奇跡の階段」は礼拝堂にあり、聖歌隊の席へあがるための階段なんだそうです。この建物を設計していた先に紹介したフランス人建築家が建設中に亡くなってしまったため、聖歌隊席へのアクセスが不十分でした。そこでシスター達がいくつもの建設業者に相談をしたのですが、敷地が狭く解決策を見つけることが出来ませんでした。
シスター達は祈ることしか出来ず9日間連続で祈っていたところ、謎の男が現れて階段を建てると申し出ました。彼は簡単な道具だけを使って一人で働き、給料も受け取らず、自分のことを教えるでもなく、完成したら失踪してしまったそうです。作業自体はどうやら6~8カ月かかったみたいですね。
完成した階段は印象的で、明らかに支柱が無いのに6.1mもある33段の螺旋階段でした。螺旋階段と言うのは本来支柱が大元にあり、支柱を中心に踏み板を設置していくとされています。踏み板の重量が支柱にかかることで支えてる形です。しかし、この「奇跡の階段」はそんな物理法則を無視したかのように支柱がありません。しかも作られた当初は手すりもなかったそうで、上り下りするのが非常に恐かったので後から追加されたものです。確かにどこで支えられてるかわからないと使う方は怖いですよね…。
どうして螺旋階段として機能しているのかは現在でもハッキリとしたことはわかっていません。螺旋の径が小さいことで内側にある階段の踏み板同士を繋げる部分(側桁)がセンターポールとしての役割を果たしているのではないか、手すりと同時に追加された鉄製のブラケットがコイルのように動作しているので弾力性によって支えられているのではないか、などの説があります。
この「奇跡の階段」ですが、現在は礼拝堂が私営の博物館になってしまい、ほとんど一般公開はされていません。残念です…。
こちらをオーパーツとして良いのかどうかは難しいところではありますが、謎の構造と出自のおかげで余計に不思議な螺旋階段になっている節がありますね。作られた年代も比較的最近ではありますが、このまま何十年何百年経っても構造がハッキリしない可能性があるので、オーパーツの卵としても良いのではないかと思います。
それでは今回はこの辺で。