John Phelan, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
今回はウィニペーソーキー湖のミステリーストーンをご紹介したいと思います。人面彫刻石とも称されることもある、人間の顔のようなものが彫刻された石です。
このミステリーストーンは1872年アメリカ東部のニューハンプシャー州の湖岸近くで発見されました。この辺りでフェンス工事のための掘削作業をしていた建設作業員が見つけたとされています。その後、歴史博文館で謎の石として1996年まで100年以上も展示、保管されていました。
高さは10cm、横幅5cm程度の大きさで卵のような形をしています。人間の顔が彫刻してあり、側面にはテントのようなものと円の図形、反対側にはトウモロコシのような楕円と円の中に何かが描かれた図形、裏面にはVを逆さまにして交差させたような図形と三日月のような形、うずまきの図形が彫刻されています。文字にすると大分わかりづらいですが、卵型の四面にそれぞれ図形が彫刻されたものになります。
またこの石には頭頂部から底面に直径1,2mmの極めて小さい穴が貫通していると言う特徴があります。石の表面に彫刻をすることは世界的に見ても昔から行われていますが、この小さな穴を開けることは少なくとも現代の技術を使わないと開けられないとされています。現代的な工具を使わないと開けられない、金属ドリルのようなものを真っすぐ垂直に貫通させるには相当な技術が必要です。少なくとも19世紀以降の技術がないとこのような加工が出来なかったのではないかと言うのが定説になっています。
発見された背景からその状況や詳しい場所、地層などがわかれば調査は進むのですが、何せ100年以上も放置されていたので詳しいことが全くわかりません。またこの石の成分は石英や花崗岩が主成分とされており、非常に耐久性が高いため石そのものの放射性炭素年代測定などは行われていません。
よって、このミステリーストーンが一体なんなのかは判明しないままとなっているので、オーパーツとして扱われています。なかなか愛嬌のある顔をしていたり、シンボル的なものが彫られていたりと、何かしらの影響を受けていたのは確実ですが、その事で色々な説が唱えらえるのも事実です。
有力視されているのはアメリカ先住民であるイヌイットが制作した可能性です。彫刻のスタイルやシンボルが先住民の文化的なモチーフに似ている部分があります。もしこの先住民が制作したのであれば2000~3000年前のものである可能性が高く、その場合でも小さな穴が開けられた技術については全くの未知数です。その他に17~18世紀の白人による植民地時代に記念品や儀式的なオブジェクトとして使用されていた説や近代において商業的な目的で出自含めて偽造された説などがあります。まぁ全く未知のものであるなら疑われるのも当然ではありますよね。
石に顔が彫ってある石のようなものと言えば、筆者は真っ先に漫画”ベルセルク”の”ベヘリット”が思い浮かんでしますのです。ミステリーストーンは石なので黒色をしているし、顔がいくつもあるものではありませんが、この”ベヘリット”の元ネタはギリシャ語のベチルではないかと言われています。古代ギリシャや自然崇拝の神々の象徴として、このベチルと言う石が使われていたようです。
とは言うもののベヘリットのような顔が沢山ついていたり震えたり涙を流す訳ではありませんが、もし然るべき人がこのミステリーストーンを持ち歩いていたら然るべき時が来たら人智を超えた何かが起きるのかも知れませんね…。
と言うことでこの調査が全く見込めないこのミステリーストーンはオーパーツだと思います!
それでは今回はこの辺で。