今回は「バグダッド電池」のご紹介です。これもオーパーツを扱う上で避けては通れないほど有名なオーパーツですね。科学の番組、電池や電気を使う時に紹介されたりもするので目にした方も多いのではないでしょうか。
1938年イラクのバグダッド、クジュットラブ(Khujut Rabu)で発掘された遺物の中から”陶器の壺””銅の管””鉄の棒”がセットになったものが見つかりました。見つけたのは当時イラク国立博物館の館長だったヴィルヘルム・ケーニッヒと言う人で、この物体がガルバニ電池なのではないかと推測しました。
ガルバニ電池とは電池化学の基礎となる装置で、18世紀に発明されました。簡単に言うと2種類の異なる金属で出来た電極と電解液で電気を生み出す装置です。電池と言うと電気をためられていつでも取り出せるイメージがありますが、ガルバニ電池は電極と電解液の化学反応によって電気を生み出すので、反応が終了したらそれ以上電気を発生させることは出来なくなります。また電気を発生させたい場合は電解液を交換する必要があります。
この遺物は紀元前150年~紀元後650年前のパルティア帝国~サーサーン朝の期間のいずれかの物だとされています。壺は一つではなく、以前に10個ほど同じ造りをした物が見つかっています。壺の大きさは約10cm、直径は3cm程度の小さい壺で、粘土を焼いて作った壺の中にアスファルトで固定された銅の筒があり、その中に鉄の棒が差し込まれています。
これらの事から、この壺で発生した電流を使って金や銀をめっきしたのではないかと推測されました。この壺を使って電気が生み出されるのか実験も行われたり、電池としての役割は果たせることが証明されました。
しかしこれに疑問を持つ学者も多数います。めっき技術は紀元前1500年ごろのメソポタミア文明の頃には使われていましたが、この頃のめっきはスズを溶かして塗る”溶融めっき”でした。電気が使われるめっき技術は1800年に考案された技術なので、バグダッド電池が作られた時代にはありません。それゆえにオーパーツだとされています。
当時の遺物で電気めっきが行われたものが出土されたり、その技術が伝えられたりしていないこともバグダッド電池の使用法をめぐる論争の争点になっています。この遺物は2003年のイラク侵攻の時に焼失してしまったそうですが、構造は難しくなく再現できる物なので技術的な検証と言う意味では問題ないのかと思います。
この構造で電気が生み出せるのか実験した事例を紹介したいと思います。日本ではあまり馴染みがないかも知れません…。いや一部熱狂的なファンがいたのは間違いないのですが、ニコニコ動画全盛期辺りには色々な動画があげられていたので知っている人もいるでしょう。科学の実験番組と言えば… そう!あの!”怪しい伝説”です。ディスカバリーチャンネルで放送されていた、都市伝説や噂、神話や信念などを科学的な観点から実験をして検証しようって番組です。日本で言うとでんじろう先生がやってたような番組ですね。体も張るしお金もかけるし爆破させるしで、まあ破天荒な番組でした。
この中で”バクダッドバッテリー”と言うエピソードがありまして、10個の手作りの壺でレモン汁と銅、鉄を電気反応させて4ボルト程度の電力を作ることに成功しました。この電力で亜鉛に銅めっきをすることが出来ましたので、めっきが出来るかどうかで言えば出来るようです。次に針治療でも使われた説を実験したりして、電気が発生することは確かめられました。
しかし、ここから悪ノリが始まります。リーダーと言うか上司と言うかMCと言うか、この番組は専門家二人がメインの番組なのですが、そのうちの一人であるアダムにドッキリ・・・この壺で出来た電流を食らわせようと画策しました。確か箱を開けると電気が流れる仕組みだったと思います。アダムが疑いながらも箱を開けると電気が流れたのですが、所詮は4ボルト。ちくっとしたくらいで済んだようです。
これで終わればよかったのですが、アダムが突如として怒りだしてしまいます。電気が痛かったわけではなく、電気をドッキリに使ったこと、信用していたチームに裏切られたと感じてしまって、とんでもなくスネてしまうアダム。この時の空気が相当面白いです。いつも仕掛ける側のアダムがね・・・と。この時の彼のショックは相当で、この後何年も助手チームはアダムにグチグチと言われることになります。是非どこかで再放送でもVODでもして欲しいものです。お願いしますディスカバリーチャンネル様!
と、大分関係のないような話しが続いてしまいましたが!
今回はこの辺で。