今回は「パレストリーナのナイルモザイク」をご紹介したいと思います。
このナイルモザイクと呼ばれる不思議なモザイク画は、イタリアのラツィオ州にあり、古代ではプラエネステと呼ばれた都市のことでフォルトゥーナ神殿があることで知られていました。フォルトゥーナとはローマ神話に出てくる運命の女神です。英語のフォーチュン(fortune)の語源ですね。このフォルトゥーナの神殿の遺跡にモザイク画が描かれており、これがナイルモザイクと呼ばれています。この神殿は紀元前1世紀に建てられたと言われています。
このモザイク画は1600年ごろに発見された壁画です。洪水になったナイル川の上流から下流までを鳥瞰図のような図法で描いたものです。これは紀元前2世紀から紀元前1世紀ごろに作られたとされています。ナイルモザイクは石や陶磁器、ガラスや貝殻、木などの素材を使用し、小片を寄せ合わせて埋め込んで絵や模様を表す装飾美術の技法です。
壁画のモチーフは氾濫したナイル川で人や動物たちの様子を壁画にしたものなのですが、この動物たちが少し奇妙で、見た目の特徴からは恐竜のイグアノドンにしか見えない生き物、サーベルタイガーのような生き物が描かれています。
これがイグアノドンなら中生代白亜紀の前期、1億2600万~1億1300万年前の恐竜ですし、サーベルタイガーのような生き物…サーベルタイガーと言うのはマカイロドゥス亜科に分類されるネコ科の動物の総称で、そのうちアフリカに生息していたサーベルタイガーはメタイルルス族のもので11000年前に生息していた種です。紀元前とか人間の尺度で計るのもおこがましいくらい前の存在なので、もし壁画のように生きていたとするならばとても不思議な事ですね。
また、同じくイタリアのポンペイで発見されたナイルモザイクでもナイル川がモチーフに壁画が描かれています。この壁画には”ピグミーのいるニロトの風景”と名がつけられているのですが、小さい人間たちが、古代生物のような生き物と戦う様子が描かれています。その生き物は2種類いて、1つは巨大な背びれを持つ恐竜”ディメトロドン”のようにも見えます。ディメトロドンは古代ペルム紀の前期約2億9500万~2億7200万年前に生息していた恐竜です。フォルトゥーナに描かれている恐竜よりもだいぶ昔の恐竜ですね。
この壁画か描かれた紀元前2世紀辺りのアフリカナイル川には恐竜がいたのかも知れませんね!
科学的にはもちろんいない事にはなっています。紀元前2世紀に化石を見つけて解析、復元までして壁画に残すと言うことも無理だと思います。ワニやイグアナなどの爬虫類を描いたものだと言う説もありますが、ワニだとしてもフォルムが大分違いますし、ネコを描こうとしてサーベルタイガーになってしまうのも考えにくいですよね。
もしあるとしたらこの壁画を描いた画家たちが空想した生き物が恐竜に見えてしまった…くらいでしょうか。だとしたらその画家たちは過去を見てきたのではないかと言うほど正確な空想をしたと言うことで、画家たちがオーパーツなのではないかと思いますが…。
ナイルモザイクは大分不思議な壁画だと個人的には考えています。古代の人たちは過去を見る何らかの手段があったりして…。
と私の空想が止まらなくなってしまうので、今回はこの辺で。