今回は古代エジプトの神殿に現代のハイテク兵器が描かれたレリーフのご紹介をしたいと思います。現在ではいろいろと解明されてしまってオーパーツではないとされていますが、どうしてオーパーツとされていたのかも含めてご紹介したいと思います。
エジプトのナイル川西岸の砂漠地帯にあるアビドス神殿。エジプト神話の中心的な神様であるオシリス神の聖地として知られ、多くの王や巡礼者が訪れた信仰の中心地でした。建てられたのは今から3200~3300年前とされていますが、現在でも保存状態が良く、とても美しい神殿で知られています。
1900年代になってからこの神殿に古代エジプトの第1王朝、第2王朝の王たちの墳墓が発見されましたが、多くは死体を埋めない記念碑のようなものと考えられています。信者たちもオシリス神のそばに埋葬されたいと願って名前を記した石を置いたりもしたそうで、名前が刻まれた石も多数見つかりました。
歴代のファラオたちは神殿の造営に励み、自分の神殿を建てていったといいます。その中でセティ1世の神殿は大部分が保存されていて、壁面にはたくさんのレリーフが残されています。このレリーフには古代エジプトのファラオたちがリストのように記載されていて、歴史的な価値もとても高いものとなっています。書かれていると言ってもヒエログリフなので我々一般人に読めるようなものではありませんが…。
そのほかにもいろいろなヒエログリフが刻まれていて、中でもイルティセン碑文と呼ばれる、職人イルティセンが自らの芸術的な才能や技術を誇るようなヒエログリフが有名です。自画自賛する文章を遺してしまったことは何とも言い難い部分ではありますが、これだけ時が経ってから見ると歴史的な価値、当時の職人の誇りは宗教的な役割などを伝えてくれる重要な資料になるんですね。
この中に表題にもある不思議なヒエログリフがあるのです。パッと見た感じでは”ヘリコプター”、”潜水艦”、”戦闘機”に見えるのです。UFOみたいにも見えるし、見たままで言うとかなり不思議なヒエログリフが刻まれたレリーフとなっています。ヒエログリフは古代エジプトの象形文字として広く知られていますが、解読に成功したのは19世紀に入ってからでした。ロゼッタストーンを解読し読み方を解明したことでヒエログリフを読むことが出来るようになりました。
オーパーツだと誰が言い始めたのはハッキリしていませんが、おそらくアマチュアの研究家だったと言われています。ヒエログリフが読めたのかもわかりませんし、何を研究をしていたのかも定かではありませんが、確かに見たままのものを現代の知識で当てはめて説明すると、近代兵器が描かれていると言うのもわからなくない話ではあります。あくまでもこういうのは一つの説として楽しむのが良いというお手本のようなオーパーツでしたね。
現在ではヒエログリフの研究も、当時のファラオたちの研究も進んでいます。近代兵器に見える部分は元々セティ1世の名前が刻まれた部分でした。次のファラオである息子のラムセス2世がその上を漆喰で上塗り、自分の名前を刻み込みました。どうしてそんなことをしたんでしょうね…。ラムセス2世の自己顕示欲のためとも、前王の残したものを受け継いでいくという意味合いで上書きしたとも言われています。
実物を見たことはありませんが、刻み込まれた深さが違ったりとかもするのかも知れません。ヒエログリフを読んだり書いたりできる人であれば、こことここを組み合わせれば必ずこうなると言うことが実証出来てしまうので、古代エジプトに近代兵器があった説は否定されてしまいましたが、なぜこうなってしまっているのか、当時のエジプトの様子や王たちの考え方、どんな人だったのか、そういうのを知りうるものとしてはオーパーツと同じくらい面白いものだと思います。
知識欲を満たしてもらえるのもまた古代人の知恵と現代人の知恵の結晶なんだと思います。全てをオカルトで片づけてしまうのも、説明できることで片づけてしまうのも、どちらももったいないと言いますか…。学者さんや研究者さんにまでなってしまうとそんなこと言えないかもしれませんが(笑) 世の中には不思議なことはまだまだ沢山ありますし、宇宙や深海についてなど、いまだに研究するのが大変なエリアもありますので、楽しみながらご紹介できればと思います。
それでは今回はこの辺で。