今回は「クィクィルコのピラミッド」をご紹介いたします。こちらはメキシコの古代遺跡の一つで現存する最古の円形ピラミッドと考えられています。
場所はメキシコのメキシコシティ南部トラルパン地区にあります。紀元前800年ごろのサカテンコ期と呼ばれる時代にこの地への定住が始まり、円形ピラミッドも同時期に建造が始まりました。ピラミッドはそのあと4回にわたって増改築が行われました。高さは20メートル、直径は約80メートルの円形をしています。
恐らくは宗教的な慣習や儀式に使われたと推測されていますが詳細はわかっていません。この後に発展するメソアメリカ文明と呼ばれるメキシコや中央アメリカの地域で発展した文明は、月のピラミッドで知られるティオティワカンや太陽の神殿などがあるマヤ文明では四角形のピラミッドや神殿型のピラミッドが建てられてることからも、このクィクィルコにおけるピラミッドの意味合いは少し違ったものだったのかも知れません。
それはこの円形ピラミッドの地底に地下室が広がっていることからもわかります。地下には地上に見えているよりも大きい階層が広がっている可能性があるとも言われていますが、詳細はハッキリしていません。
なぜ発掘が進んでいないのか。それはこの地域一体が紀元前200年~100年ごろ、近くにあるシトレ火山が大噴火を起こして大量の溶岩で埋まってしまったからなのです。発展した都市はその時に滅亡し、その後文明の中心地はテオティワカンに移っていったとされています。しかし、溶岩に埋もれてしまったおかげで一体は封印され、保存されたとも言えるのではないでしょうか。
都市全体が溶岩で埋まってしまったために、保存状態は良いものの発掘は困難で今現在でも多くの部分が未調査です。このクィクィルコ文明はテオティワカン文明が発展する前の重要な文化圏であり、メソアメリカ文明の起源を探る上で重要な遺跡とされています。未発見の部分には未知の遺跡や遺物が沢山埋まっている可能性があり、まだまだ多くの謎に包まれたとても興味深い遺跡です。
一見わかりやすいオーパーツではありませんが、発掘するのに莫大な時間も資金も必要で、そこにあるのに解明が出来ない不思議な遺跡はオーパーツと言っても過言ではないかと思います。
もしかすると地下にはピラミッドのように階層が重なり広がっていて、地下都市みたいになっている可能性だってあるし、マヤ文明などで多用されているような黄金がふんだんに使われた遺物が残っているかもしれません。今後の発掘調査に期待したい遺跡ですね!