チャクラとは何か 7色の「虹の身体」を作った神智学徒
第1チャクラが赤、第2がオレンジ、第3が黄色、第4が緑、第5が青、第6が藍、第7が紫。虹の色と同じ順に体の下面から上に並んでいる—。ヨガスタジオやヒーリングサロン、パワーストーンショップなどで、こんなチャクラの説明を見たことがある方は多いのではないでしょうか。きれいなパステル調で描かれたポスターはとても魅力的です。でも、この7色はチャクラという概念の源となったインドの文献には登場しません。
原典に描かれた色
チャクラについて体系的に記述されている古典文献としては、1577年にベンガル地方のタントラ行者プールナーナンダが著した『六輪解説(Ṣaṭcakranirūpaṇa/シャットチャクラニルーパナ)』が知られています。宗教学者だったミルチャ・エリアーデが「最も正統的なチャクラ観を表わすもの」と評価したため、これが西洋のチャクラ観の大元になりました。
この文献ではそれぞれのチャクラに対応する色が記述されていますが、それは現代の色とは異なります。例えば第1チャクラ(ムーラーダーラ)には赤い四枚の花びらと黄色い四角形が描かれ、蛇の姿をした女神クンダリニーが眠っていると書かれていました。また別の古典文献『シヴァ・サンヒター(Śiva Saṁhitā)』では第1チャクラの色は金色となっています。
つまり、文献によってチャクラの色が違うのです。「チャクラの色に一貫した体系は見られない」という研究もあります。7色の虹のような統一された決まりは、インドの伝統の中には元々なかったのです。
レッドビーターという神智学徒
では現代のように、チャクラを虹色にしたのは誰なのでしょうか。
答えは、チャールズ・ウェブスター・レッドビーターというイギリス人です。神智学協会の主要メンバーで、「透視能力がある」と自称していました。レッドビーターは『The Chakras(チャクラ)』という本を出版し、その中で各チャクラに太陽光のスペクトル、虹の7色を対応させました。赤から紫まで、本人は「これは正確には太陽のスペクトルとは異なる」と注釈をつけましたが、色の配列は虹の順番そのものです。
レッドビーターが虹の色を選んだ理由については、彼が「プラーナ、生命エネルギーは虹色」と透視したことと関連しています。彼は当時の生理学や物理学を使って、チャクラやオーラなどの霊的な概念に根拠を与えようとしました。その結果、インドの伝統とは切り離された形でチャクラと虹色が結びつけられたのです。