棚田にかかる天の川

七夕の夜に動く恋 世界の星の物語

 今夜は七夕、短冊に願いを書いて笹の葉に吊したことがある人は多いですよね。晴れたら天の川が見えて、織姫と彦星が会うことができる―そう聞いて晴れたらいいなと思っていたのを思い出します。そしてこの二人だけでなく、星にまつわる恋の物語は世界中にあります。引き裂かれたり、死に別れたり、それでも会いたがったり…。人はなぜ星を見上げて恋を思うのでしょうか。

会えないからこそ、ずっと続く

 七夕の大元になったのは、古代中国の牛郎織女の物語です。織姫(こと座の一等星ベガ)と彦星(わし座の一等星アルタイル)はとても働き者だったのに、恋に落ちたとたん仕事もせず遊んでばかりいたので天の川の両岸へ引き離されたというストーリー。

 二人を引き離したのは天帝ですが、このとき年に一度だけ会えるようにしてくれました。別れさせたわけではなく、ただ遊んでばかりではいられないようにしたんですね。そして七夕の日にはカササギたちが連なって橋になり、二人を渡らせてくれます。

 恋心が強く燃え上がるのは、手が届きそうで届かないときです。ずっと一緒にいられるという物語なら、織姫と彦星の話は語り継がれることはなかったでしょう。年に一度だけ会えるというロマンチックな状況が二人の物語を語り継いできました。私たちが好きな人に会う前にドキドキした甘い気持ちになるように、織姫も彦星もきっと早く会いたくて心ここにあらずなんじゃないでしょうか。

古代ギリシャの天の川

 日本や中国では無数の星が集まった様子を「天の川」と名づけ、空を流れる川に見立てました。英語だと天の川は「ミルキーウェイ」、乳の道と呼ばれています。

 これはギリシャ神話が由来になっていて、多くの女性と浮気していたゼウスと息子ヘラクレスが関わっています。ヘラクレスの母親は人間なんですが、ゼウスは神と人間のハーフである息子を不死身にしようとしたんですね。そこで妻である女神ヘラが眠っている隙に彼女の乳を飲ませたんですが、赤ん坊ヘラクレスの力は生まれつき強かったようで…。ヘラが驚いて身を起こしたとき夜空に乳が飛び散ってできた星の集まり、だからミルキーウェイなんだそうです。

 同じ空を見ていても「恋人たちを隔てる川」「子供を育む母乳」と、ところ変われば物語も全然違うんですね。ギリシャは浮気が元になっているので恋の話に含めていいのかどうかという気はしますが…。

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