アーキタイプ タロットや神話に現れる顔
初めて読んだ物語なのに、妙に懐かしいような感覚を覚えたことはないでしょうか。登場人物の考え方や生き方に共感したり、逆に嫌悪感を抱いたりしたことは?それは偶然ではなく、私たちの無意識にある「アーキタイプ(元型)」の反応かもしれません。
20世紀の精神科医・カール・グスタフ・ユングによると、私たちには人類全体に共通の「集合的無意識」が存在します。アーキタイプはその層にあるパターンで、神話や宗教、昔話、映画、漫画、ゲームに形を変えて繰り返し現れます。だから初めて読む物語に既視感を覚えたり、決まったタイプの人に強く引き寄せられたりするのだといいます。
では、自分の中にどんなアーキタイプが潜んでいるのか、どうやって見つければいいのでしょうか。まず試してみたいのは、自分が好きだったキャラクターや物語の登場人物を振り返ることです。子どもの頃に憧れた主人公、何度も見た映画のキャラクター、なぜか惹かれる神話の神やタロットの絵柄。もし同じようなタイプに惹かれているなら、そのアーキタイプの性質が強くあなたに影響していると言えます。
逆に「どうしても苦手な人物」から見ていくこともできます。どうしても受け入れられない、見ているだけでイライラするキャラクターを思い浮かべてみてください。傲慢な人、優柔不断な人、自己主張の強い人…。強く拒絶している性質は「無意識の中に押し込めたもう一人の自分」、シャドウ(影)である可能性があるとユングは言いました。嫌いな人物をあえて分析してみると、自分でも気づいていなかった一面が浮かび上がってくるかもしれません。
タロットカードを「アーキタイプを映す鏡」として見るとぐっと面白くなります。未知へ飛び込む「愚者」という冒険者、育み与える母性の「女帝」、「女教皇」は内面を見つめる賢者、ナイトたちは使命に生きる戦士。もし同じカードを何度も目にするなら、それは未来が決まっているというより、「今そのアーキタイプのパターンに則っている」というサインです。
このパターンは職場や家庭など、日々の人間関係にも現れます。あなたはなぜかいつも同じような役回りになっていないでしょうか。頼られやすい人、トラブルの解決役になる人、いつも誰かのサポート役になる人など、私たちは無意識に自分のアーキタイプに沿った役割を選び、同じような人間関係のパターンを繰り返しています。
世界中の神話を見ると、文明が違っても登場人物のキャラクターは驚くほど似ています。例えば「母」の元型は、エジプトではイシス、ギリシャではデメテル、北欧ではフリッグ、日本ではイザナミです。名前は違っても、生命を育み、守り、ときには支配するという性質は共通しています。アーキタイプは文化を超えた人間共通のパターンなのです。
もし自分のアーキタイプを知りたいなら、「好きな人物」「嫌いな人物」「繰り返し引くタロットカード」「何度も見る夢」「人生で何度も繰り返す人間関係」を書き出してみるといいでしょう。バラバラに見ると無関係に見えても、並べてみると一つのアーキタイプに収束していくことに気づくはずです。アーキタイプは「性格を分類するためのラベル」ではなく、自分が無意識にどんな役割を演じ、どんな課題に向き合おうとしているのかを映し出す鏡です。神話やタロットが何千年も受け継がれてきたのは、その地図が時代や文化を超えて現代の私たちにも有用だからなのかもしれません。