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インカのシャーマニズム ママ・シレーナとインカ・ワスカーの浄化

 浄化という言葉を聞くと、塩をまく、セージを焚くなどをイメージする方は多いのではないでしょうか。でも、その浄化は何をどこに動かしているのでしょう。インカの流れを汲むシャーマンたちは、浄化されたものがどこへ行ってどうなるのかを理解しています。今回はその世界観と、実際の浄化の祈りをご紹介します。

生きたエネルギーの宇宙

 ペルーの高地でケロ族と呼ばれる人々が暮らしています(詳細は インカのシャーマニズム ~インカの末裔 ケロ~ をご覧ください)。 彼らはインカの末裔として知られ、スペインの侵略から守られた人々です。古くからの教えを守り続けたケロ族のシャーマンは、アンデスのシャーマン(パコ)たちの中でも特別な存在です。ケロの人々にとって宇宙はカウサイ・パチャという生きたエネルギーの世界、山も石も水も人間もすべてが生きていて、お互いに絶え間なく交流し合っています。その世界観の中ではすべてがエネルギーで人間もその一部なので、物質である私たちとスピリットは厳密に区別されません。

サミとフチャ

 カウサイ・パチャのエネルギーには二種類あり、軽くて純粋な「サミ」と重たい「フチャ」に分けられます。フチャは決して悪いものでも穢れたものでもなく、人間にとって重くて扱いにくいエネルギーなだけです。怒りや悲しみなどの感情から生まれるもので、人間に特有のものです。

 人間にとっては重たいフチャですが、大地や水にとっては受け取ったら変容させられる栄養のようなものなんですね。こういった理由から、この地域で浄化という概念は「重いものを受け取ってくれる場所に渡す」という形をとります。

浄化を受け持つ存在たち

 インカのシャーマニズムの世界は、上の世界・アッパーワールドのハナク・パチャ、この世であるカイ・パチャ、下の世界・アンダーワールドのウク・パチャの三層でできています。ウク・パチャには偉大な大蛇であるサチャママがいて、フチャが運ばれるとそのエネルギーを変容させてくれます。

 海の底ではママ・シレーナがフチャを引き受けてくれています。かつて光の中にいたインカ・ワスカーは、今はウク・パチャにとどまってエネルギーを変容させ、スピリットたちが光を見出すのを手伝ってくれています。私の系譜では、ママ・シレーナは右側のエネルギー、インカ・ワスカーは左側のエネルギーを受け持つとされます。水に流す力と変容させる力が揃うことで浄化が成されます。

浄化の祈り

 ママ・シレーナとインカ・ワスカーの浄化の祈りを一部ご紹介します。

ママ・シレーナの祈り

ママ・シレナク カリュパンタ リャンカニ、パイカ ウライピ ママ・クチャピ カウサン
Mama Sirenaq kallpanta llamkani, payqa uraypi mama quchapi kawsan,
海の底におられるママ・シレナの力を呼びます

ヤククナタ アスタン キキリャイキタ タリクパク ウク・パチャマン、チャイピ プニュン サチャママ
Yakukunata astan kikillaykita tariqpaq Ukhu Pacha-man, chaypi puñun Sachamama.
偉大な蛇サチャママが眠るウク・パチャへ あなたが自らと出会うために水を運ぶ方です
日常での実践方法

 フチャがウク・パチャに行くようはっきり意図することで浄化を行います。静かに座って深呼吸し、疲れや重たい感情を身体の中のフチャとして感じようとしてください。その重みは息を吐くたびに下へと降りていき、やがて海の水に流れていきます。フチャを手放したらママ・シレーナとインカ・ワスカ―がそれを変容させてくれます。身体が軽くなったらママ・シレーナとインカ・ワスカーに感謝を伝えて終わります。疲れが抜けないときや人混みから帰ってきたとき、重い話を聞いた後など、フチャを感じたらいつでも使えます。

 遥か遠いアンデスの地には、今でも世界に祈り続けている人たちがいます。

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