霊能力者や僧侶が「自殺すると成仏できない」なんて言うのを聞いたことがありませんか?それを聞いて、大切な方を亡くされた方がご心配されている話をよく聞きます。そこで「自殺したら成仏できない」説について考えてみたいと思います。
身内に起きた出来事
私自身、高校生だった頃に祖父を自殺で亡くしました。私の家族や叔父たちの家族が全員集まったお正月の夜でした。元々うちは家族の多くがいわゆる”幽霊”を視る人たちでした。亡くなってからも祖父は毎日祖母の布団に潜り込んで眠り、家の前の路地でニコニコと家族を見守り…。怖がりの家族にはたぶん気を使って夢の中に現れてくれていました。でも…。
「自分で死を選んだら成仏できないって話は?」とふと気がついたんですね。ただ、私の家族たちが目撃したり夢の中で話したりする祖父はもれなくニコニコ笑っていました。叔母が「なんでこんなことをしたんですか!」と怒ったら、ちょっと決まり悪そうにへへ、と笑ったとか。…まったく悲壮感が感じられませんよね。
目に見えた阿弥陀さま
ある夜、お風呂に入っていた父が首を傾げながら居間に戻ってきました。そして一言「俺、肉眼で仏様を見たのは初めてだ」と。きらびやかな衣装の仏様が従者を従えて祖父を迎えに来たと言います。うちは特に信心深い家ではなくどの仏様かはわかりませんでした。ですが、その謎は次の日にあっさりと解けてしまいました。
うちのお寺は壁一面に仏画が描いてありました。そして次の日の法要で、父親が一人の仏様を指差して「あの仏様!」と叫んだんです。それは阿弥陀様と従者を描いたものでした。住職は阿弥陀様は亡くなった方のお迎えに来てくださることがあるとのことでした。
「と言うことは、父は成仏できたということでしょうか」
「もちろんです」
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