スピリチュアルな世界を証明するための手掛かりとして量子物理学が取り上げられるようになるにつれ、「スピリチュアルで言われる量子物理学は本来の量子物理学ではない」という人も増えました。ですが、この世界が白か黒かの二択ではないこと、今現在の科学がすべての事象を解明しきっていないことを考えると、科学的に証明されているか否かで正否を証明するのは難しいのではないでしょうか。
スピリチュアルに軸足を置く人だけでなく、物理学者の中にも目に見えない世界を肯定的に捉えている人は存在します。私たち個々は全体の一部であるという理論を唱えたデヴィッド・ボーム(『全体性と内蔵秩序』)はスピリチュアル界では有名なコペンハーゲン解釈「物事の状態は観測されるまで決定されることがない」を生み出した学者です。彼らは哲学的な思想や直観力で自らの理論を発展させました。
シュレーディンガーの猫で知られるエルヴィン・シュレーディンガーは波動力学の生みの親ですが、彼が編み出した波動方程式はヒンドゥー教の経典であるヴェーダの諸原理を表していると言っています。ボームとシュレーディンガー、『タオ自然学』を著したフリッチョフ・カプラなど多くの物理学者が西洋の科学と東洋の哲学の組み合わせに行きついているのは面白いですよね。
また、量子力学の先駆者となったマックス・プランクは、知識や推論など理性だけではなく「直接的な認識」が大切だと言っています。この「直接的な認識」は、神から降りてきたと言われるような直観的なものだと考えられます。彼は宗教的な面と科学的な面の両方を発達させることが必要で、科学では形而上学的な欲求は満たすことができないと言いました。
リサ・ランドールのブレーン宇宙論では、私たちの世界は高次元空間に浮かんだ三次元的な「膜(ブレーン)」だといいます。この膜を離れることが「次元を超える、移動する」ことになるんですね。では、そのためにはどのようなことを練習すればいいのでしょうか。
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