日本をはじめとする東洋の国では、2月の節分が楽しく祝われることが多いです。これは大きな視点で見れば立春という春の始まりの前日にあたる日。つまり、みんなで春の訪れを祝う日なのです。魔女の世界でもこれに似た日があり、それが2月1日や2日に祝われる「インボルグ」のサバトです。この日は、春を迎えた大地の女神が春の太陽の日差しで新たな命を身籠る日とされてきました。とくにケルト神話の女神ブリギットに縁が深く、健康や芸術、収穫と家畜などに焦点が当てられます。
文字にすると堅苦しいですが、要は、厳しい冬は終わったよ、これからは春が来るからみんな元気になろうよ!といったサバトだと解釈すれば分かりやすいかもしれません。
また、ヨーロッパのたいていの土地ではこのインボルグの翌日に、キリスト教のキャンドルマス(聖燭祭)がやってきます。キャンドルマスは、クリスマスシーズンの終わりを告げる祝祭です。インボルグと一緒に考えられることも多いため、この数日は寒くて家に縮こまっていた冬至からの汚れやゴミをきれいに掃除して、春の芽吹きを迎える日、といったイメージも強いのが特徴的です。
そう、年末ではなくこの時期に大掃除をするのです。まずはクリスマスから飾ってあった装飾品を外してホコリを払ってしまうか、捨てるかします。本物の木をクリスマス・ツリーに使っていた家庭は、この日にそれを燃やしてしまいます。そして、太陽の光を迎え入れる象徴として、日本でもよく知られているクレープや、バノックというレーズンがたっぷり入ったケーキを焼いて、皆で食べるとされています。この二つは丸い形が太陽を象徴しているのです。丸いケーキならばなんでも良いので、興味があったら試してみましょう。節分のお豆を一人でポツポツ食べるよりは、楽しい気分になれるかもしれません。
他にも色々なインボルグの言い伝えがありますので、今月はそのお話をしていきますね。
(ヘイズ中村 魔女・魔術師&占い師・執筆家
中学生時代から研究と修行の道に入ったのに神秘性の欠片もない神秘家
HP https://www.fortunamoon.com)