日本で有名な魔女といえば、1970年代に少年チャンピオンで連載された『エコエコアザラク』でしょう。若い(な、なんと中学生!)黒井ミサという悪魔と契約を結んだ魔女が主人公なのですが、彼女は場合によっては人を平気で惨殺する非情な魔女として描かれています。とくに彼女自身に加害する相手には容赦なく報復する場面がたびたび登場しています。
この漫画の影響なのか、酷い体験をしたので、魔女になって相手を呪いたい、という相談を受けることが結構あります。でも本当の魔女には、ウイッチズ・クリード(witches creed)、魔女の信条というものがあります。これは「Do anything, hurm no one 」、つまり 何をしていいけれど人を傷つけてはいけない、という掟に縛られていますから、基本的には人を呪うことはしません。
ですから、呪いたいほどの人がいるのですが、と相談されても、まともな魔女ならば弁護士を紹介したり、警察に相談しなさいと勧めることがほとんどでしょう。何万円払ってくれれば、その人を呪ってあげるよ、などと言い出すのは「自称」魔女です。だって、魔女の掟を守っていないのですから。あなたが魔女になりたいのであれば、警察や弁護士といった現実世界でのルールや制度を駆使することを学んでからでないと、魔法の力を学ぶことはできないのです。
警察?そこまでしなくても……という人は、ちょっと冷静になって考え直しましょう。話し合いですんなり解決するかもしれません。言葉の力を駆使するのも、魔女修行の一つだと思って頑張りましょう、
最後に一つ、誤解されないように追加させてください。エコエコ・アザラクというのは本来、魔女たちがエネルギーを上げるために唱える楽しいチャントの一部であって、黒井ミサさんのように人を呪い殺す呪文としては使えません。そして当然、魔女は悪魔と契約などしないのです。
(ヘイズ中村 魔女・魔術師&占い師・執筆家
中学生時代から研究と修行の道に入ったのに神秘性の欠片もない神秘家
HP https://www.fortunamoon.com)