ハトホル

365日 光と闇の暦 2月26日 愛と破壊の二面 ハトホルとセクメト

今日の光の神:ハトホル(エジプト神話・愛と音楽の女神)

 ハトホル(エジプト語: ḥwt-ḥrw/Hwt-Hor、ホルスの館)は古代エジプトの愛、美、音楽、母性の女神です。牛の角と太陽円盤を頭に載せた姿、あるいは牛そのものとして描かれます。シストルム(がらがら)を鳴らして踊り、神々と人間に喜びをもたらします。太陽神ラーの目でもあり、ファラオを養育する乳母としての役割も持ちました。デンデラに壮大な神殿が残っています。ギリシャ人はハトホルをアフロディーテ(Ἀφροδίτη/Aphrodítē)と同一視しました。愛と美の女神として、人々に幸福を与える優しい存在です。

今日の闇の神:セクメト(エジプト神話・破壊の獅子女神)

 セクメト(エジプト語: sḫmt/Sekhmet「力ある者」)は古代エジプトの戦争と疫病の女神で、獅子の頭を持つ恐ろしい姿で描かれます。メンフィスの神プタハ(Ptah)の妻でもあります。ある神話では、ラーが反逆した人間を罰するためにセクメトを送り込みましたが、セクメトは血の味を覚えて殺戮を止められなくなりました。神々は赤く染めた七千壺のビールを血に見せかけて飲ませ、酔わせることでようやく殺戮を止めさせました。興味深いことに、セクメトとハトホルは同一神の二面とされています。

光と闇

 ハトホルとセクメトは別々の女神ではなく、同じ女神の二つの顔です。愛と破壊は対極にあるようで、同じ源から生まれています。深く愛するからこそ、裏切られたときの破壊衝動も大きい。セクメトは止まらなくなりました。血に酔い、殺すこと自体が目的になった。感情が本来の理由を忘れて暴走するとき、ハトホルはセクメトに変わるのです。

この日のテーマ:感情の二面性

 あなたの中にもハトホルとセクメトが同居しています。愛が深ければ深いほど、傷ついたときの怒りもまた深くなります。優しい人が突然激しく怒るのは、愛と怒りが情熱の裏表だからかもしれません。セクメトを否定する必要はありません。大切なのはセクメトの激しさに飲み込まれないことです。神話でセクメトを止めたのは血に見せかけたビールでした。怒りに別のものを与え、酔わせ、眠らせた―感情を変容させたのです。あなたのセクメトを鎮めるビール」は何でしょうか。

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