ベルボーグとチェルノボーグ

365日 光と闇の暦 3月14日 白い神と黒い神 ベロボーグとチェルノボーグ

ディタ・エ・ヴェラス(アルバニア・夏の日)
今日の光の神:ベロボーグ(スラヴ神話・白い神)

 スラヴ神話に伝わるベロボーグ(Белобог/Belobog)は「白い神」とされています。光や太陽、幸運や善を司るこの神は、白い衣をまとって白い杖を手にした老人の姿とされてきました。森で道に迷った旅人を導き、畑には豊かな実りをもたらす慈悲深い守護者として尊ばれています。スラヴの人々はかつて宴席で杯を回しながら、ベロボーグに良き運命を祈っていました。その神殿は日の出を望む丘の上に建てられ、常に光へと開かれていたといいます。昼の世界、すなわち生者の領域「ヤヴ(Yav)」を見守り、人々に希望を与えます。

今日の闇の神:チェルノボーグ(スラヴ神話・黒い神)

 チェルノボーグ(Чернобог/Chernobog)はスラヴ神話における「黒い神」です。闇、夜、そして不運や災厄を司り、夜の帷が下りた時にのみ姿を現すとされています。12世紀の年代記では、宴席で杯を回しベロボーグによき運命を祈ったスラヴの人々が、同時に黒い神チェルノボーグの名を唱えることで不運を遠ざけようとした様子が記録されています。バーバ・ヤーガや不死のコシチェイなど、スラヴの伝承に登場する恐ろしい存在たちの父ともいわれ、死と闇が支配するスラヴの冥界「ナヴ(Nav)」を統治しています。

光と闇

 昼と夜、生と死、そして幸運と災厄など正反対のものを司るベロボーグとチェルノボーグ。相容れない存在のように見えますが、スラヴの人々はどちらか一方を排除することはありませんでした。光の神に感謝するだけでなく、災厄の神にも敬意を持って杯を向けていたのです。光だけが支配する世界では、昼の明るい景色しか見ることができません。一日という時間の全体像は、闇の存在を認めることで初めて現れます。善きものと悪しきものの両面を等しく見つめることは、世界の真の姿を正しく捉えることでもあるのではないでしょうか。

この日のテーマ 片方だけでは意味がない

 もし不運が全く存在しない幸運だけの人生を送っている人がいたとして、その人は自分が幸運だということに気づけるでしょうか。比較対象としての不運を知らなければ、幸運という言葉自体が意味を失ってしまうかもしれません。ベロボーグとチェルノボーグが共に存在しなければならないのは、対照することで初めて一つの概念が成立するからです。光は闇の中に浮かび上がるからこそ光として認識できます。一切の闇が存在しない世界において、「光」という言葉は意味を持ち続けることができるのでしょうか。

関連記事一覧