ラテストーン

365日 光と闇の暦 3月6日 兄の身体から生まれた世界 フーナとプンタン

Kevin Wang, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

灰の水曜日前後(キリスト教・四旬節始まり)
今日の光の神:フーナ(マリアナ諸島・創造の女神)

 フーナ(Fu’una)は、マリアナ諸島の先住民チャモロ族(Chamorro)の創世神話に登場する女神です。世界が存在する以前、彼女は虚空の中で兄プンタンと一緒に生きていました。やがてプンタンは死期を悟り、自分の身体で世界を創るよう彼女に遺言を残します。フーナはその願いを受け入れ、兄の両目を太陽と月に、眉毛を虹に変えました。プンタンの胸は空になり、背中は大地になりました。フーナは創造を成し遂げると自分自身も岩となり、そこから最初の人間が誕生しました。兄妹の姿は消えましたが、後にはこの世界が残されたのです。

今日の闇の神:プンタン(マリアナ諸島・自己犠牲の創造神)

 プンタン(Puntan)はフーナの兄で、自らを犠牲にして世界の素材となった創造神です。その物語には悲劇的な響きが伴います-世界を創造するためには、自分自身の死が必要だったからです。その一方、ある意味でプンタンは完璧な形の永遠を手に入れたともいえます。私たちが見上げる太陽は彼の目であり、踏みしめる大地は彼の背中です。プンタンは自ら動いて世界を創ったのではなく、自分という素材を提供して妹のフーナに世界の形を作らせました。受動的な犠牲と能動的な創造のどちらが欠けても世界は成立しませんでした。

光と闇

 チャモロ族はグアム島やサイパン島など、マリアナ諸島に暮らす人々です。16世紀からのスペインの植民地支配で多くの伝統が失われましたが、この物語は断片的に伝承されてきました。兄プンタンが自らの命を提供した「素材」なのに対し、妹フーナはそれを宇宙の秩序に編んだ「知恵」と「技術」を象徴しています。二人の共同作業は混沌を世界に変えました。灰の水曜日は「土から来て土に帰る」という無への回帰を説きますが、この兄妹の物語は「個から全への拡散」という対照的なものです。死は単なる終焉ではなく、個体という境界を越えて万物に溶け出していくプロセスなのです。

この日のテーマ 終わりの先にある変容

 プンタンの終わりの先に待っていたのは、無ではなく「新しい形」でした。彼はどこか遠くに消えていったのではなく、太陽や大地などに姿を変えて、私たちのすぐそばに在り続けています。何かが終わりを迎えようとしていても、あなたは決してすべてを失うわけではありません。それは形を変えて、あなたの世界に溶け込んでいっただけ。今までに失ったと感じてきた何かは、今は形を変えてあなたという存在の土台を支えているのではないでしょうか。今あなたの近くで変化が起きているとしたら、その先にはどんな新しい形が隠れているのでしょうか。

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