石川県の神社

365日 光と闇の暦 3月11日 守る神、荒ぶる神 産土神と荒御魂

東日本大震災追悼の日(日本)
今日の光の神:産土神(日本・土地の守護神)

 産土神(うぶすながみ)は、その土地に生まれた人を生涯にわたって守り続ける神様です。血縁で繋がる氏神に対し、産土神は土地との縁で結ばれる地縁的な神で、その人にとっての産土神はずっと変わりません。かつてはその土地固有の霊的な存在として親しまれてきましたが、現在では地域の社に鎮座する神々と習合し、身近な場所で私たちの日常を支えています。遠く離れた場所で暮らすようになっても、生まれた土地との絆は一生切れることのない深い縁です。私たちがどこへ行っても、産土神の温かな眼差しは魂の根底を支え、私たちの揺るぎない根っことなっているのでしょう。

今日の闇の神:荒魂(日本・神の荒ぶる側面)

 荒魂(あらみたま)は、神の魂が持つ荒々しく激しい側面を指します。神道では一柱の神の中に穏やかな「和魂(にぎみたま)」と「荒魂」という二面性が共にあると考えてきました。災害や疫病などの災厄は荒ぶる魂の躍動だとされ、人々は古い時代から畏れを持って荒魂に接してきました。太陽神である天照大神にもその激しい側面があり、伊勢神宮では荒祭宮(あらまつりのみや)という本殿に次ぐ重要な場所で祀られています。荒魂は生命が持つ根源的なエネルギーの表れでもあり、徒に怖れるのではなく「正しく畏れ敬うべき力」だと言えるでしょう。

光と闇

 2011年3月11日、この列島を大きな震災が襲いました。大地は私たちを温かく育む揺りかごである一方で、時には抗いようのない力を見せる存在でもあります。産土神と荒御魂は、分かちがたく結びついた一つの神様の現れなのでしょう。どちらか一方を都に合わせて選ぶことはできず、私たちはその両面を受け入れて敬いながら自然とともに歩んできました。被災地で再び鳥居が立ち、祭りの灯が灯されるのは、傷ついた魂を癒やし、荒ぶった力を再び穏やかな守りへと繋ぎ直そうとする再生への歩みなのでしょう。

この日のテーマ 畏れとともにあること

 大地は命を慈しみ、水は人を潤します。しかし、恵みを与えてくれる大地が、抗えないほどの圧倒的な力を見せることがあります。私たちは穏やかな日々を願いながらも、その裏側にある激しく荒ぶる側面を無視することはできません。その両面を丸ごと受け入れざるを得なかった今日は、その重みが理屈や言葉を超えて私たちの胸に深く刻まれた日でもあるのではないでしょうか。あの日から歳月を重ねた今、私たちはこの大地とどのように向き合い、どのような想いを抱えて歩んでいくのでしょうか。

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