ドリームキャッチャー

365日 光と闇の暦 2月8日 大いなる神秘と蜘蛛の罠 ワカン・タンカとイクトミ

大いなる神秘と蜘蛛の罠

今日の光の神:ワカン・タンカ(ラコタ神話・大いなる神秘)

 ワカン・タンカ(Wakan Tanka)は「大いなる神秘」を意味し、スー族にとっての至高の存在です。一神教の神のような人格は持たず、太陽、空、大地、風、雷など、あらゆるものに遍在する力として崇敬されています。ワカン・タンカには姿も声もなく、怒りも喜びも示すことはありません。ただそこにあって全てを包んでいます。人間は直接話をすることはできませんが、ビジョン・クエストやサンダンスなどの儀式で断食して肉体を極限まで追い込み、その導きに触れる機会を生み出そうとしてきました。スー族の人々はあらゆる存在の中にこの聖なる力を見出しています。

今日の闇の神:イクトミ(ラコタ神話・蜘蛛のトリックスター)

 イクトミ(Iktomi)はラコタ族やダコタ族を含む総称スー族に伝わる蜘蛛のトリックスターです。かつては偉大な神クスキ(Kski)でしたが、悪戯が過ぎて神格を剥奪され、蜘蛛の姿に変えられたとされます。口が達者なイクトミは、甘い言葉で相手を油断させるのが何よりも得意。「お前だけに教えてやる」「これは秘密だぞ」などと囁きかけ、気づいたときには蜘蛛の巣の罠に絡め取られてしまいます。人間に言葉やドリームキャッチャーを教えた功績もありますが、騙された者は痛い目を見て賢くなります。イクトミの物語は「うまい話には裏がある」という教訓として語り継がれてきました。

光と闇

 ワカン・タンカが万物に宿る宇宙の調和だとしたら、イクトミは混乱と人の心に忍び寄る欺瞞の象徴です。ただ静かに世界を包み込むワカン・タンカに対し、イクトミは言葉巧みに近づいて誰かを罠にかけようとします。ラコタの人々はどちらも世界の一部として受け入れてきました。イクトミは嫌われ者ですが、物語には欠かせません。世界は善だけでは成り立たず、混乱や欺瞞もまた全体の一部なのです。イクトミの混乱があるからこそ、ワカン・タンカの調和が際立ちます。

この日のテーマ:騙されることの価値

 「お前だけに教えてやる」「これは秘密だぞ」。そんな言葉に心を動かされたことはあるでしょうか。イクトミは特別扱いされたい気持ちにつけ込んで混乱をもたらします。ちょっとした自尊心をくすぐっておいて、気づけば引き返せないなんてことも…。ですが、騙された経験は決して無駄にはなりません。次に甘い言葉が聞こえてきたら「これはイクトミの甘言かもしれない」と慎重になれます。痛い目を見た分、人は賢くなるのです。

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