アテナ・アフロディーテ・ヘラに林檎を投げ込むエリス

365日 光と闇の暦 3月1日 新しい戦いの幕開け ベローナとエリス

聖デイヴィッドの日(ウェールズ)・マルティソール(ルーマニアの春祭り)

今日の光の神:ベローナ(ローマ神話・戦争の女神)

 ベローナ(Bellona)はローマ神話における戦争の女神です。軍神マルス(Mars)の姉妹または妻とされ、戦場では兵士たちを鼓舞して勝利に導く女神として崇拝されました。彼女の名はラテン語の「bellum(戦争)」から来ています。ローマ市内にあったベローナの神殿の前には「戦争の柱」と呼ばれる柱が立てられ、敵国に宣戦布告をするときには執政官がこの柱に向かって槍を投げる儀式が行われていました。ベローナは単に破壊を司っていたわけではなく、戦いの中に秩序をもたらす女神としてローマの防衛と拡大を司りました。

今日の闇の神:エリス(ギリシャ神話・不和と争いの女神)

 エリス(Ἔρις/Eris)はギリシャ神話に登場する不和と争いを司る女神です。夜の女神ニュクス(Νύξ/Nyx)の娘とされますが、その子供たちは苦痛、飢餓、忘却、殺人などの「災厄」が擬人化された存在たちです。エリスはトロイア戦争の遠因となった「不和の林檎」を投げ入れたことで知られます。ペレウスとテティスの結婚式に招かれなかったため、「最も美しい女神へ」と刻まれた黄金の林檎を宴席に投げ込みました。招かれない、つまり認められなかった者の復讐です。エリスは無視されることの危険を体現しています。

光と闇

 3月1日は古代ローマ暦では新年の始まり、軍神マルスに捧げられた月の最初の日です。ベローナは正面から戦うべき敵と向き合い、秩序を持って戦います。それとは対照的にエリスは宴に紛れ込み、たった1つの林檎で世界を燃え上がらせました。正々堂々と戦う力と陰から火種を置く力はどちらも戦争を引き起こし得るものですが、戦いが始まった後の道筋は異なります。ベローナの戦いには勝敗があって決着がつきますが、エリスの争いには終わりがなく、憎しみが憎しみを呼び続けるのです。

この日のテーマ:決着の向こう側にあるもの

 正面から向き合い、白黒をつけることでしか得られない静寂があります。その一方、あえて答えを出さずに割り切れない感情を抱え続けることで守れる繋がりもあるかもしれません。もし今あなたの心に小さな火種があるとしたら、それは潔く燃やし尽くすべき戦いでしょうか。それとも、誰かに気づいてほしくて投げられた孤独な林檎でしょうか。「終わらせること」と「続いていくこと」、今のあなたにとってどちらの選択がより誠実だと感じますか?

関連記事一覧