365日 光と闇の暦 3月8日 戦う女神、倒れる魔王 ドゥルガーとマヒシャースラ
ヒンドゥー暦の春祭り前後
今日の光の神:ドゥルガー(ヒンドゥー教・不退転の戦女神)
ドゥルガー(दुर्गा/Durgā)はヒンドゥー教における戦う女神で、女性的な宇宙的エネルギーである「シャクティ」が強力に顕現した存在です。彼女は8本または10本の腕を持ち、それぞれの手に神々から授かった武器を携えて獅子か虎に乗っています。ドゥルガーが誕生したのは、男神たちが水牛の魔王マヒシャースラに敗北して天界を追われたときでした。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァをはじめとする神々は、それぞれの怒りのエネルギーを結集させて一体の女神を創り出したのです。ドゥルガーという名には「近づき難い者」という意味があります。
今日の闇の神:マヒシャースラ(ヒンドゥー教・傲慢な水牛の魔王)
マヒシャースラ(महिषासुर/Mahiṣāsura)は、水牛の姿をした魔王(アスラ)です。彼は長い苦行を続けた末、創造神であるブラフマーから「いかなる男にも、神にも殺されない」という恩寵を得ました。しかし、最終的にはその恩寵が命取りとなりました。怒れる神々が女神を創造した当初、マヒシャースラは求婚したという伝承すらあります。美しい女神が戦場に現れたのを見て、戦う相手だとは思わなかったのでしょう。彼は女性の持つ力を完全に見誤っていました。マヒシャースラは傲慢なことに女性を脅威と見なさず、殺されるはずがないと高を括っていたのです。
光と闇
ドゥルガーとマヒシャースラの物語は、対象を過小評価することの危うさを物語っています。マヒシャースラが願ったのは「男にも神にも殺されない」という条件でした。女性が敵になり得ると思っていなかったため、そもそもの選択肢から外していたのです。その存在を認識していないものに対して、人は無防備になります。強すぎる力や成功体験は、時に人の視野を極端に狭めてしまうのかもしれません。見えていない「敵」は防ぎようすらなく、その認識の欠如こそが最大の弱点となるのです。
この日のテーマ 存在を認識していないもの
人は自分が脅威だと認識していないものに対処することができません。マヒシャースラは女性を取るに足らない存在だと決めつけていたがゆえに、女神の手によって滅ぼされました。勝ち続けたり強大な力を得たりすることで自分の力を過信し、警戒すべき対象を矮小化してしまったのでしょう。あなたが取るに足らないと思っていることや問題だとすら感じていないところに、実は重要な鍵が隠されている可能性があるかもしれません。あなたを揺さぶる可能性を孕んでいるものは、実はまだ見えていないかもしれないのです。