ホープダイヤモンド

ホープダイヤモンド ─ 持ち主を破滅させる青い宝石の呪い

350z33, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

 45.52カラットの深い青色を持つホープダイヤモンド(Hope Diamond)は、世界で最も有名な呪われた宝石だ。インドの寺院から盗まれて以来、数世紀に渡って不幸の連鎖を引き起こしてきた。現在はアメリカのスミソニアン国立自然史博物館に展示され、人気展示となっている。果たしてこの宝石は本当に呪われているのだろうか。その歴史を追ってみよう。

呪いの始まり インドの寺院からの盗難

 ホープダイヤモンドの原石はインドのゴルコンダ地方で採掘されたと言われている。元々は112カラット以上もある巨大な青いダイヤモンドで、ヒンドゥー教の女神シータの像の目として祀られていたという。

 ところが、17世紀になってフランスの宝石商ジャン=バティスト・タヴェルニエがこれを手に入れる。一説では寺院から盗み出したとされ、このとき神官が呪いをかけたという。タヴェルニエは野犬に引き裂かれて死んだという話が広く伝わっているが、実際には84歳まで生きており、1689年にロシアへの旅の途中で亡くなったとの記録がある。呪いの最初の「犠牲者」からすでに真偽が怪しい。

フランス王家の悲劇

 1668年、タヴェルニエはこの宝石をフランス国王ルイ14世に売却した。王室の宝物となったダイヤはフレンチ・ブルーと名付けられる。ルイ14世は1715年に76歳で死去したが、呪いとは関係なさそうな自然死だった。

 問題はその後だ。フレンチ・ブルーはルイ16世とその妃マリー・アントワネットの手に渡った。フランス革命が勃発して2人は捕えられ、ギロチン処刑という最期を迎える。この革命の混乱の中、盗まれた宝石類の中にフレンチ・ブルーも含まれていた。宮廷女官でマリー・アントワネットの親友だったランバル公妃という女性がいる。彼女もこの宝石を身につけていた時期があるというが、革命派の暴徒に虐殺された。

再発見とホープ家

 盗まれたフレンチ・ブルーはさらにカットされ、小さくなった姿でロンドンの宝石商ダニエル・エリアソンの前に現れた。それからイギリス国王ジョージ4世が所有したが莫大な借金を残して死去、債務整理のために売却されたと見られる。

 フレンチ・ブルーが「ホープダイヤモンド」になったのは、イギリスの裕福な銀行家ヘンリー・フィリップ・ホープのコレクションに加わったためだ。名前は変わったが、この宝石はホープ家に不幸をもたらした。相続に関する訴訟が何年も続き、最終的に宝石を相続したフランシス・ホープ卿は浪費癖のある女優と結婚して破産した。

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