白澤

365日 光と闇の暦 2月13日 知識の限界と変容 白澤と夔

知識の限界と変容

今日の光の神:白澤(中国神話・吉祥の神獣)

 白澤(はくたく / 白澤)は中国神話に獅子のような体に角と複数の目を持った神獣として登場します。人の言葉を理解し万物の知識を持つという白澤は、東海を巡行していたときに現れて11520種もの妖怪鬼神の知識を授けたといいます。この知識を書き記した書は『白澤図』と呼ばれ、魔除けの護符として広く用いられました。日本では白澤を書いた絵を枕元に置くと悪夢を防ぐとされます。白澤は知識は最大の武器だという教えを表しています。

今日の闇の神:夔(中国神話・一本足の怪物)

 夔(き / 夔)も白澤と同じく中国神話に登場する一本足の怪物です。『山海経』によれば牛のような姿で青黒い体を持ち、一本足で跳ねて移動するといいます。その声は雷のように轟いて嵐を呼ぶという恐ろしい存在でした。黄帝は蚩尤(しゆう)との戦いで夔を捕らえ、その皮で太鼓を作ります。雷獣の骨でその太鼓を打つと、その音は五百里に轟きました。夔は古代中国人が理解できなかった自然現象の化身で、白澤すら説明しきれない未知の力です。

光と闇

 白澤が体現するのは「言語化された知」です。11520種の妖怪すべてにはそれぞれ名前と性質があり、白澤はその対処法も知っていました。名づけることで恐怖が制御可能になる一方、夔は名前をつけても制御できない存在でした。捕らえて太鼓にするしかなかった—理解ではなく変容させることでしか制御できなかったのです。

この日のテーマ 名づけられない恐怖と向き合う

 人は不安や恐れに名前をつけようとします。「これはトラウマだ」「愛着障害だ」と。私たちはラベルを貼ることで不安を解消し、それに対処できると信じているのかもしれません。でも、分析や理解を試みて名前をつけたとしても消えないものがあります。それは知識の敗北ではなく、言葉で表現しきれないものは体験することでしか変容しないという真実を示しているのです。名前をつけても解決しなかったことについて思い出してみてください。それは別のアプローチを待っているのかもしれません。

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